六甲山の豊かな自然の中で現代アートを鑑賞する芸術祭「神戸六甲ミーツ・アート2026 beyond」が29日、開幕した。17回目となる今回は、国内外から約60組のアーティストが参加。森や植物園、展望台、歴史的建築など、六甲山の多彩な場所を舞台に作品を展開し、「自然」「文化」「人」とアートの出合いによって新たな物語を創造する。11月29日まで。

2010年に始まった同芸術祭には、これまで延べ約650組のアーティストが多彩なアートを出展。美術館で開かれる一般的な展覧会とは異なり、作品を見るために山を歩き、景色を眺め、植物や建築に触れながら次の展示物へ向かう「芸術散歩」が大きな特徴だ。六甲山上には10の会場が点在し、会場間は徒歩やバス、車で移動する。
現代美術家の奈良美智は2025年、彫刻作品『Peace Head』を出展。少女のほほ笑みが刻まれだ同作は芸術祭を象徴する存在となり、継続して展示されている。今年はさらに、日本を代表するアーティストの1人で、今月14日に死去した草間彌生さんの立体作品『南瓜』(高さ約240センチ)が特別寄託作品として登場。『南瓜』はブロンズ製で、草間さんならではの水玉モチーフが表面をびっしりと覆う。緑の中に鎮座する巨大な南瓜は、圧倒的な存在感を放つ。


今回、NHKの人気番組「びじゅチューン!」でおなじみのアーティスト井上涼が初参加した。作品は、作画や構成、曲の制作、歌唱も自身で担う新作アニメ『じーっと!つぶさに!妖精ウォッチング』で、架空の街に住む妖精の生活を鑑賞者がのぞき見するという設定。井上は同作を思いついたきっかけについて、「山の上から景色を眺めていると、少し前まで見えていなかったものがふと見えて、街で人が生活している様子が分かったりする。遠くからではあるが、そこに人が生きていると感じられたことがインスピレーションにつながった」と明かし、「親子連れなど多くの人に楽しんでもらいたい」と期待を寄せる。


そのほか光を使った表現で知られる高橋匡太、風船を素材に空間を彩るDaisy Balloon、映像やインスタレーションなどを手掛けるさわひらき、独自の造形表現で知られる棚田康司、船井美佐ら、多彩な作家が名を連ねる。海外からも、ベトナム系米国人アーティストのジュン・グエン=ハツシバ、台湾の莊禾(チュアン・ホー)、英国を拠点に活動するラッセル・モーリスらが参加。建築家ミケーレ・デ・ルッキも特別展示を手掛けた。





