「いずれは手話や点字へ移行していきたい」ママに話を聞いた
「障がいのことをもっと知ってほしい」と、SNSで発信を続けているいのりちゃんのママに話を聞きました。
――いのりちゃんのサインは、あらかじめ決めてから教えているのでしょうか?
「はい、こちらで決めてから教えています。手話やマカトンサイン(コミュニケーションに困難がある人や子ども向けの療法のひとつ)をベースとし、本人がやりやすい方法に少しだけ変えることもあります。
サインの種類は、家庭や保育園・学校の生活の中で増やしていき、各施設間での共有を大切にしています。今は、言葉の概念を理解するためにサインを用いていますが、いずれは共通言語である手話や点字への移行に向けて、日々の様子をみながらコミュニケーション方法を広げていっています」

――このサインができるようになってよかった、というサインはありますか?
「『トイレ』のサインです。本人からしてみれば、オムツの方が楽なので、“トイレに行き、用を足す”ということは、少し理不尽に感じているかもしれません。親としては、自由に楽しく生きてもらえれば、それが何よりなのですが、生きていくためには社会性も鍛えなければいけないので、『そういうもの』としてルールを覚えている最中です。
今は特に、集団生活の中で必要な『順番』『あとで』をできるようになってほしいと考えています」
初めてのサインは『食べる』伝わったことに安心した
――いのりちゃんとのコミュニケーションで印象に残っていることは?
「初めて本人から出たサインが『食べる』でした。ご飯を目の前に用意し、食べようとする直前に、こちらから『食べる』のサインを促すことから始めました。
その後も、いのり自身が『食べる』サインを出してから、お皿を渡して食べてもらうことを日々繰り返し行っていると、ある日、おやつを手に持ちながら、自分から『食べる!』とアピールしてきたので、『伝わった!』と感じ、とても安心したことを覚えています」
――家族の時間で大切にしていることを教えてください。
「いのりは目と耳から入ってくる情報が極端に少ないです。目と耳に不自由がなければ、遠い国の景色や音楽、今の様子なんかもネットを通せば、すぐに映像で知ることができます。
いのりにはそれが難しく、すべての実体験が経験となり、世界を作り上げていっています。
そのため、いのりには様々な体験をさせてあげたいと考えています。
季節を身体で感じてほしいので、季節の花を見に(匂いを嗅ぎに)行ったり、季節の食べ物を狩りに行ったりと積極的に出かけるようにしています。
また、直接身体に触れて過ごす時間も大切にしています。いのりがまだ自分で歩くことができなかったときから、『他者への興味』や『安心感』をもたせるために、手足や足先など常に身体のどこかしらをくっつけて過ごしていました」






