カテリーナさんはチョルノービリ(チェルノブイリ) 原発から2.5キロ離れた都市・プリピャチ出身。生後1か月の1986年4月に原発事故が発生し、家族で首都キーウへ避難した。6歳の時に被災した子供たちで構成された音楽団「チェルボナカリーナ」に入団後、海外公演に招聘され、日本の素晴らしさに心打たれ、19 歳の時に音楽活動の拠点を東京に移した。
現在、日本に数少ないバンドゥーラ奏者の 1人として、各地で公演活動を展開している。

この日、祖国の子守歌「幸せの鳥」を演奏した。「木を切らないで、鳥を殺さないで、誰かのお母さんかもしれないから」という内容だ。
カテリーナさんはこの曲に思いがある。「ロシアによる軍事侵攻が始まり、単に子守歌ではなく“(平和への)叫び”のようになった」と話し、自身の歌声に変化があったと振り返る。


さらに、ウクライナて歌い継がれる「マリーゴールド(金色の花)」を歌った。母親が庭に植えてくれたマリーゴールドや、母の温もりをテーマにしている。
演奏会に訪れたりファッションデザイナーのナタリア・ゴロドさん(大阪府吹田市)はキーウから避難。遠い故郷へのノスタルジーを誘う歌声に「自分の母親を思い出した」と涙ぐんだ。

在神戸ウクライナ名誉領事で、日本での同国研究の第一人者、岡部芳彦・神戸学院大教授は「現地は無差別爆撃が続く。インフラが破壊され、恐怖の中命がけの毎日を過ごしている。ロシアはウクライナの文化や歴史、アイデンティティをも奪おうとしている。しかし、ウクライナは決して屈していない。武器だけではなく、自国の芸術を守ることで力強く抵抗している。バンドゥーラは真のウクライナの伝統だ」と訴えかけた。

スザンネ・ヴェルター総領事は、「ロシアは『ウクライナ独自の国家はない』と強調している。これこそが人間性を奪い、ロシアが自らの残虐行為を正当化している」と非難した。
コンサートに招かれた避難者は、「これだけ戦争が長引き、先が見えない状況で、もう祖国はなくなってしまうのか」「ロシアとの戦いは2014年のクリミア侵攻から続いているが、私たちは決して屈しない。必ず光は見えてくる」と話し、さまざまな思いを胸に日々を過ごしている。







