「胸にズシンとくる舞台を」 主演の森下洋子さんが思い語る 松山バレエ団「くるみ割り人形」大阪公演

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 クリスマスの夜、少女が見た“夢”の物語が今年も大阪に現れる。松山バレエ団(東京都港区)による「くるみ割り人形」全幕が11月28日(土)、フェスティバルホール(大阪市北区)で上演される。主人公の少女クララ役は、今年、舞踊歴75周年の節目を迎えた同団のプリマバレリーナ、森下洋子さん。日本センチュリー交響楽団が紡ぐ演奏に乗せ、森下さんが団長を務める同バレエ団が総出演、きらびやかで奥深いステージを作り上げる。

松山バレエ団「くるみ割り人形」第1幕(2024年11月16日、フェスティバルホール) (C)テス大阪
松山バレエ団「くるみ割り人形」第1幕(2024年11月16日、フェスティバルホール) (C)テス大阪

 松山バレエ団の「くるみ割り人形」は、今年で初演から45年。チャイコフスキーの音楽とともにクリスマスの華やかな情景だけでなく、クララがさまざまな経験を通して人間として成長していく姿が描かれる点が印象的な演出だ。

 長年にわたりクララを踊ってきた森下さんは、今回の大阪公演に向け、「胸にズシンときて自然に涙があふれ、心が温かくなる。そのようなものを感じてもらいたい一心で、毎日稽古に取り組んでいます」と語る。

松山バレエ団「くるみ割り人形」第2幕(2024年11月16日、フェスティバルホール) (C)テス大阪

 松山バレエ団がフェスティバルホールで公演を始めたのは1961年。「大阪の皆様はいつも本当に温かいお気持ちで迎えてくださっている。そのことを肌で感じます」と森下さん。今回、構成を大きく変えることはないが、少し見直した箇所もあるという。森下さんは、「自然災害が相次ぎ、温暖化など人類を取り巻く環境が大きく変化する中、科学文明だけではなくて、私たちの精神も進化していかなくてはいけない」との思いを強くしたとし、「前向きな希望や、人と人が信じ合う愛をお届けできるよう、さまざまな箇所で演出を変えました」と明かす。同バレエ団の作品は、2011年の東日本大震災、その後の国内外の災害、そして各地で続く戦争の被害を受けた人々に思いをはせ、寄り添う気持ちを込めて制作されているという。

森下洋子さん(2026年9月1日、フェスティバルホール)

 75年におよぶ舞踊人生については「『バレエを通じて心と体を磨いていきたい』という強い思いを多くの人に支えていただいてきたからこそ、今日まで続けてくることができました」と感謝の思いを語り、「75年はあっという間ではなかったし、継続できたのは当たり前のことではなかった。稽古を続けられること自体が喜びです」とかみしめる。これからの抱負として「身体を整える。そして役をフレッシュに受け止めることができる自分を作っていくこと」と話す。

「バレエ以外にやってみたいと思った職業は?」との問いには「まったくないです。バレエのない世界も、人生も考えられない」ときっぱり。「『くるみ割り人形』の稽古でも、それまで気が付かなかった音の美しさにハッとしたりする。バレエには終わりがなく、魅力が尽きません」。これからも一日一日研鑽を重ね、バレエ芸術の本質を極めていく覚悟だ。

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