神戸のまちには通りいっぺんのガイドブックからはみ出したおもろしろさが数多く眠っており、それらを体験できるのが、市内各地で展開されている「こうべフィールドパビリオン」だ。そうした“はみだし神戸”を、サブカル郷土史家の佐々木孝昌さんと探すWEBコラム「はみだし神戸まちある記」。今回は、フィールドパビリオンのプラグラムのひとつである「神戸六甲ミーツ・アート2026 beyond」を取り上げる。
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「神戸六甲ミーツ・アート」は、毎年秋の六甲山を舞台に開催される現代アートの芸術祭。今年は11月29日まで、ROKKO森の音ミュージアムをはじめ六甲山上の10会場で開催されている。「今年は約60組のアーティストが、六甲山の自然や歴史と向き合った作品を展開しています」と同イベント事務局の岡本千裕さんは話す。
会期中の毎週日曜日に開催される「こどもプログラム」では、3種類のワークショップが用意されている。「未来を担う子どもたちに自然の中でアートや表現活動を身近に感じてもらおう」という思いを込め、毎年取り組まれているものだという。
▼ワークショップその1:アーティストと一緒に六甲みやげを作成し、持ち帰る
▼ワークショップその2:いっしょにおえかきして、みんなでひとつのアート作品を作る
▼ワークショップその3:ブラスバンドと共にジャズパレードに参加
予約は不要で、参加希望者は開催場所に直接集合する(天候により場所が変更になる場合もあり)。

郷土史に精通する佐々木さんが同イベントにまつわる“はみだしポイント”として挙げたのが、会場のひとつでもある六甲ガーデンテラスだ。現在は「自然体感展望台 六甲枝垂れ」が鎮座しているが、1957年~2002年までは「十国展望台」があったという。須磨浦山上遊園に現存するものと同じく、円柱形の建物がぐるりと回転していたとか。「あの手の回転展望台って、全国的にあったんですよ」と佐々木さん。


十国展望台の姿は写真や絵はがきには残っていても、館内の様子まで伝える資料は意外に少ないそう。ところが、その姿を今に伝える貴重な映像が一つだけ残っていた。それが、1968年公開の松竹映画『吹けば飛ぶよな男だが』だ。監督は『男はつらいよ』の山田洋次、主演はなべおさみ。撮影の7〜8割は神戸で行われ、六甲山はもちろん、新開地や福原、有馬道や会下山公園など、市内各所がロケ地になっている。
作中には少しだが回転展望が動いている姿や、展望台と六甲山カンツリーハウスを結ぶリニューアル前の旧リフト、六甲山カンツリーハウスの園内やレストラン、そして当時の六甲ケーブルに乗って山上へ向かう場面も映っているという。「貴重な58年前の風景ですね」と佐々木さん。作品はDVD化されており、今も見ることができる。映画に映る半世紀以上前の風景と今の景色を見比べてみたり、ロケ地を巡ると新たな発見がありそうだ。

また、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの建物も六甲山ならではの見どころ。神戸に残るヴォーリズ建築は今や5軒ほどといわれるが、そのうち2軒が六甲山にある。六甲山荘と神戸ゴルフ倶楽部のクラブハウスだ。アートを巡りながら、あわせて訪ねるといいかもしれない。
※ラジオ関西2026年9月11日放送分より




