全国高校駅伝競走大会で8度の優勝歴を誇る西脇工業高校(西脇市野村町)が、2020年春の学科改編に伴ってPRポスターを制作した。「つなぐ伝統 つくる栄光」。キャッチコピーを象徴する写真のモチーフは、同校駅伝のモットーである「心のたすきリレー」。たすきを渡す手と、受け取る手が、見る者の心をつかみ好評だ。
西脇工高は2020年春の入学生から、それまでの機械、電気、工業化学、情報・繊維、総合技術の5学科を機械、電気、ロボット工学、総合技術の4学科に改編した。「西脇工高は変わります」をアピールしようと、中学校などに配布する学校案内を一新するとともに、ポスターも併せて制作することを決めた。
まずは全校生と職員からキャッチコピーを募り、投票の結果、「つなぐ伝統 つくる栄光」に決まった。その文言に合致する写真として浮上したのが、たすきリレーだ。
「心のたすきリレー」は西脇工高の駅伝の代名詞。西脇工高陸上競技部前監督の渡辺公二さんは、2010年の神戸新聞連載「にんげん渡辺公二」の取材に次のように答えている。「駅伝は心をつなぐリレー。選手は(7区間を走る)7人じゃない。50番目の部員もエース。メンバーに入れなかった部員も含め、全員の思いをつなぐのです」
ポスターの写真で、たすきを渡そうとする手は少しごつごつしており、受け取ろうとする方の手は一回り小さく、柔らかに見える。向かって左側の手は西脇工高陸上競技部の3年男子部員、右側の手は3年女子部員がモデルになった。
工業高校は男子というイメージが持たれがちだが、西脇工高の全校生645人の内訳は男子が541人、女子は104人(2020年8月現在)。たすきを渡す男子の手、受け取る女子の手は「あなたも西脇工高で学びませんか」という呼び掛けでもある。このポスターの写真は学校案内の表紙にも使われた。
制作責任者を務めた電気科長の山村明生・主幹教諭(51)は「見る人を引き付ける、インパクトのあるポスターを作りたかった。ポスターや学校案内を見て、興味を持っていただけるとうれしい」と話している。