毎年8月24日を中心に京阪神で子どもたちが楽しむおまつりとして「地蔵盆」がある。お盆からおよそ1週間後に行われる行事は、地域の人々が日ごろ生活するなかで子どもたちを守ってくれる「お地蔵さん」に感謝を伝えるというもの。
神戸市の兵庫区や灘区、そして長田区でも子どもたちが24日の夕方からお地蔵さんに用意されているお菓子を求めて、町中を巡るのが風物詩となっている。
ではなぜ「地蔵盆」は「お盆」とは時期がずれているのか? 「兵庫・神戸のヒストリアン」園田学園女子大学名誉教授の田辺眞人さんに聞いてみた。
「日本人は古い時代に祖先を子孫の家に迎えて交流して送り出す祖先崇拝が、のちに『お盆』となっていきました。旧暦の7月1日から7月下旬までが『お盆』の時期で、関西では8月の初めから下旬までを指します。『地蔵盆』もお盆の最後、旧暦の7月24日、現在の8月24日にお地蔵さんの縁日がくるのでおまつりしていましたが、『お盆』の日数がどんどん短くなり、今では8月13日から15日を『お盆』と言うようになりました。そのため、『お盆』と『地蔵盆』の時期が離れてしまって、今のようになったのだろうと思います」(田辺さん)
今年はコロナの影響で多くの地蔵盆が中止に。夏祭りと同じく、子どもにとって楽しめる機会がなくなってしまうのは、なんとも寂しい限りだが、今は我慢のとき。普段からお地蔵さんにも「コロナ終息」「無病息災」を願いつつ、日々を過ごしていきたい。