毎年8月23日・24日に京都や大阪、神戸などの上方で行わる行事として『地蔵盆』がある。街中の辻々に立ち、日ごろ子どもたちを守ってくれる仏様である「お地蔵さん」に、地域の人々が感謝を伝えるイベントである。
兵庫県では、子どもたちがそれぞれのお地蔵さんをお参りするとお菓子などがもらえるため、この日は自転車などに乗って街中を駆け巡る子どもの姿が散見される。子どもによっては10件ほどのお地蔵さんを巡り、お菓子を手に入れることも。
ではなぜ、お地蔵さんは子どもたちを守る存在と言われているのか。『兵庫・神戸のヒストリアン』園田学園女子大学名誉教授の田辺眞人さんに聞いてみた。
「地蔵は正式には地蔵菩薩であり、将来如来になるために修行をしている存在で、菩薩の中でも愛情の強い存在であると言い、助けを求められるとそれがたとえ地獄であっても助けに行くといわれています。仏教では子どものうちに亡くなると、親より先になくなることは罪が深いとされ、子どもは地獄に落ちてしまうとされています。地獄から抜け出そうとするとその境目に『賽の河原』という川が流れ、この河原の石を自分の身長より高く積まないと地獄から出ることができないとされており、親たちは地蔵に賽の河原にいる子どもを助けてほしいとお願いすることから、子どもを救う・守る存在として信仰されるようになりました。地蔵が中心となる『地蔵盆』は、子どもが主役になり発展していったものでしょう」(田辺さん)。
今年はコロナの影響で多くの地蔵盆が中止に。夏祭りと同じく、子どもにとって楽しめる機会がなくなってしまうのは、なんとも寂しい限りだが、今は我慢のとき。普段からお地蔵さんにも「コロナ終息」「無病息災」を願いつつ、日々を過ごしていきたい。