「それでも演劇を続けるために、せーのでキッカケを作ろう。」を合言葉に、9月19日(土)と20日(日)に、大阪市北区のABCホールで、「ターニングポイントフェス~関西小劇場演劇祭~」が開催される。
現在、大打撃を受けている関西小劇場界が声を上げ、立ち上がったこのイベント。実行委員会のひとりであり、劇団「リリパットアーミーⅡ」の座長を務める、劇作家・演出家のわかぎゑふさんが、ラジオ関西『シンコペ!~enter the エンタ~』のリモートインタビューに登場。関西の劇団が一堂に会する今回の演劇フェスについて、思いを語った。
今回のインタビューは、番組の8月ゲストで、「ターニングポイントフェス~関西小劇場演劇祭~」発起人でもあるゲキゲキ/劇団『劇団』(通称:ゲキゲキ)の主宰・古川剛充さんへのインタビューがきっかけとなっている。
劇団にとってのベースとなる小劇場の醍醐味を伝えるべく、頑張っている劇団たちが集まるイベントが、「ターニンングポイントフェス~関西小劇場演劇祭~」。発起人であるゲキゲキの古川さんが「どうしよう……?」と考えたときに、最初にわかぎさんに相談したそうだ。
「ゲキゲキの子たちが、『やるからには、みんなで“劇団は元気です!”っていうことを示すような、そういう“花火”を上げたいね』と、話をしていて。そこで、古川くんが、『ふっこさん(わかぎさんの愛称)に言うたら、何とかなる!』って思ったみたいです(笑)」
実はこのイベントの前に、「ゲキゲキが30日劇場を借り切って、いろんなチームで同じ芝居を、組みや俳優を変えて観せるということを、やっていて、そのときの印象があった」(わかぎさん)。彼らの企画力に一目置いていたところから、「この子たち、こういう“花火”を上げるのは上手いんだろうなと思って、だったら怖がらずに乗っかろうと私も思ったんです」と、わかぎさんも安心して参加しようと考えたという。
今回の「ターニングポイントフェス」には、関西の17団体、プラス今回のためのユニット1団体が参加する。現在の関西の劇団同士のつながりについては、「昔に比べるとすごく少ない」とのこと。
「昔は、劇場の近くの飲み屋に行けば誰かいたり、その近場に誰か(役者や劇団員が)いるということが多かったので、そこで知り合って客演に出たりとか、そんなことが多かったんです。『場が人を作る』みたいなところ、(演劇の)メッカといえるような場所・劇場がすごく少なくて、ポツン、ポツンと、島と島とが点在するような感じで、言ってみれば『なかなか舟で行けねぇな~』みたいな(苦笑)。だから、今回みたいな集まりがあると、『こんなにぎょうさん(たくさん)劇団があるんや』『小劇場(の人たち)がこうやって集まれるもんなんや』と、若い劇団の人たちにも分かってもらえるとうれしい。だから参加団体にも期待しています」
「ターニングポイントフェス」で、各劇団の持ち時間は、20分。わかぎさんの劇団「リリパットアーミーⅡ」は2日目、9月20日(日)のCブロックに登場する。
◆公式サイト
◆クラウドファンディングサイト
わかぎゑふ プロフィール
1959年2月13日生まれ、大阪府出身
関西小劇場の劇団「リリパットアーミーⅡ」二代目座長。大阪弁の人情喜劇、明治以降の近代日本の庶民劇に定評がある。
2000年度大阪市きらめき賞受賞。2001年度大阪舞台芸術奨励賞受賞(『お祝い』の作、演出にて)。2011年度バッカーズ・ファンデーション演劇激励賞受賞(三軒茶屋婦人会「紅姉妹」脚本に対して)。
古典への造詣の深さも有名で、歌舞伎「たのきゅう」「色気噺お伊勢帰り」新作狂言「わちゃわちゃ」「おうみのおかげ」などの作・衣裳・出演なども担当。
また、大劇場から小劇場まで縦横無尽に演出できる数少ない女性演出家のひとり。コロナ自粛期から明けた2020年6月1日に歌舞伎の中村鴈治郎と「亥々会(いいかい)」を早々に立ち上げ、新作狂言「棒しばり×棒しばり」(出演=中村鴈治郎、茂山逸平)の作・演出を担当。
2014年度から京都藝術大学の非常勤講師。日本劇作家協会、日本演出者協会(現理事、関西ブロック長)日本ペンクラブに所属。
ラジオ、テレビへの出演、ドラマの脚本、エッセイ本も多数。自身のイラストの入った集英社文庫から出ている大阪シリーズが広い世代に人気。NHKで放映中の『リトル・チャロ』シリーズの原作者で、現在は英語番組『ボキャブライダー』を担当。
【活動詳細】玉造小劇店ホームページ