2020年のプロ野球ドラフト会議が26日に東京都内で開かれ、明石市立明石商業高校(兵庫)の中森俊介投手は2巡目で千葉ロッテから、来田涼斗外野手は3巡目でオリックスからそろって指名を受けた。同じ公立高校から複数人が指名されるのは13年ぶりのこと。「互いに高め合ってここまでこれた」と実力を認め合う2人が、新たなステージに羽ばたく。
丹波篠山市出身の中森が硬式野球を始めたのは中学3年の夏からと比較的遅いものの、その才能は明石商の狭間善徳監督の目に留まった。神戸市出身の来田は兄が同校のOB。甲子園出場がかなわなかった兄の雪辱を果たすため、その背中を追った。
2人は1年夏から甲子園に出場するなど、投打の柱としてチームを牽引。2年時には水上桂(現・東北楽天)らとともに、兵庫県勢83年ぶりとなる春夏4強進出を成し遂げた。来田は2年春のセンバツで史上初めて、1試合で先頭打者本塁打とサヨナラ本塁打の両方を放つなど、甲子園での3本を含む高校通算34本塁打。中森は1年夏に甲子園でいきなり145キロを記録すると2年時にはその球速は150キロを超え、甲子園には春夏あわせて3度出場し5勝を挙げた。2人は名実ともに超高校級の評価を受けてきた。
それでも2人は「名前が呼ばれないのではと不安だった」、「指名されて安心した」と口をそろえ、「ここからが勝負だ」と前を向いた。対戦したい選手には中森は柳田悠岐(ソフトバンク)、来田は千賀滉大(ソフトバンク)と松本航(西武)を挙げた。特に松本は明石商のOB。「僕も狭間先生の教え子。どちらが勝負に勝てるか確かめたい」と来田から松本へ宣戦布告だ。
中森は千葉ロッテ、来田はオリックス。同じパ・リーグの球団に指名されたため、2人の対決が期待される。中森が「1軍の舞台で戦って打ち取りたい」と話すと、来田は「僕はホームランを打つ」と気合十分に応じた。狭間監督は「もしそうなれば、練習を休みにして全員で見に行きたいと思う」と優しく微笑み、「これから厳しい道になると思うが、覚悟を決めてプロ志望届を出したので頑張ってくれると思う。できるだけ長く、プロで活躍できるように願っている」とエールを送った。
明石商での3年間を振り返り、「監督から教わった『最悪の状況で最善を尽くす』『人の痛みがわかる人になる』の2つを意識し、これからもプレーしたい」(中森)、「野球の技術だけでなく、人として成長できた。さらに苦しい場所に行っても耐えられるような練習をしてきたと思うので、自信を持ってプロ野球の世界で継続していきたい」(来田)と話した2人。夢の舞台にいよいよ飛び込む。