2018年9月、近畿を襲った台風21号の強風で流されたタンカーが関西空港の連絡橋に衝突した事故を受け、第五管区海上保安本部(神戸市中央区)が、関空と神戸市のポートアイランド(神戸市中央区港島南町7)に船舶の位置情報を把握するレーダーを新設する。関空周辺や大阪湾北部で、全ての船の動きを24時間体制で監視する。2023年3月までに運用の開始を目指す。
これまでは淡路島の大阪湾海上交通センターで、船舶自動識別装置(AIS)の搭載義務がある大型船舶だけを監視してきた。新たなレーダーシステムは半径20キロ以内にある全船の位置を把握できるようになる。
停泊中の船が強風などで流された場合には感知してアラームなどで知らせる仕組みも導入。 第五管区海上保安本部は、正確な位置情報を把握することで事故発生を未然に防ぎたいとしている。
関空のタンカー衝突は、強風で錨が海上で流される「走錨(そうびょう)」状態になったことが原因とされる。タンカーは台風の接近を控えた2018年9月4日ごろから関空島周辺に停泊。最大瞬間風速58.1メートルを記録した「想定外」ともいえる強風に見舞われ、4日午後1時ごろに走錨状態となり、約40分後に衝突事故が起きた。当時AISで位置を追い、注意喚起したが事故は防げなかった。 第五管区海上保安本部はこの事故を教訓に、AISのない船も含めた監視精度の強化を図る。