2020年12月。夕方から宵の早い時間帯にかけて、南西の低い空に木星と土星が見える。この2つの惑星は日ごとに近づいていき、397年ぶりの「超大接近」となる。
木星と土星は日ごとに近づいており、12月22日3時頃、今シーズン最も接近する。ただこの時間、2つの惑星は地平線の下にあるため見ることができない。日本での観察のチャンスは21日の日の入り後。南西の低い空で、2つの惑星は、満月の見かけの直径の4分の1にまで接近する。ただ午後7時ごろには沈んでしまうため、見晴らしのいい場所での観察がおすすめという。
どこまで近づいて見えるのか。
12月中の木星と土星の間隔は「およそ2度未満」という。2度というのは50~60㎝先の1円玉のサイズと同じくらい。つまり1円玉を持った腕を伸ばすと2つの惑星が隠れてしまうことになる。これが、「超大接近」では、2つの惑星の間隔がおよそ0.1度(月の見かけのサイズの20%ほど)になる。肉眼では1つにしか見えないかもしれない。望遠鏡を使うと、木星と土星を同じ視野に捉えることができ、条件さえよければ木星の縞模様や土星のリングも見える。
397年ぶりの天体ショー。望遠鏡を使っての天体観測が始まったのは17世紀とされる。明石市立天文科学館の井上毅館長は「397年前、木星と土星は太陽に近く、実際には見ることができなかったと考えられる。このことから『望遠鏡を使って木星と土星を同じ視野に捉えられる』歴史上初めてのイベントとなりそうだ」と話す。今回を逃すと次のチャンスはおよそ60年後となる。
井上館長によると、月を見た時に全体の様子がわかる、クレーターが見えるくらいの望遠鏡を使えば、「木星の衛星ガリレオや土星の環も見える」。
この歴史的なイベントを世界中で楽しもうというプロジェクト「惑星で星空視力大実験~木星・土星“超”大接近観測プロジェクト」も立ち上がっている。「ホームページから2つの惑星がどのように見えたか報告すると素敵な証明書がもらえます」(井上館長)。
■明石市立天文科学館HP
https://www.am12.jp/
https://www.am12.jp/event/other/other_2020/online_20201221_jupitersaturn.html
■「惑星で星空視力大実験~木星・土星“超”大接近プロジェクトのリンク
https://www.nayoro-star.jp/mokuseidosei/jp//
■井上毅(いのうえたけし)さん (@INOUE_Takeshi_) / Twitter
https://twitter.com/INOUE_Takeshi_
https://twilog.org/INOUE_Takeshi_