本来であれば帰省などで公共交通機関は混み合い、高速道路では渋滞が風物詩であった、年末年始。ただし、今年は新型コロナウィルス感染拡大の影響で、遠方への帰省や旅行などは自粛、いつもと異なる正月を迎える方も多いだろう。
例年であれば、帰省の際のご挨拶などに、進物を用意していた方もいたのではないだろうか。その中でも、定番中の定番が“カステラ”だ。では、なぜカステラが進物などで重宝されるのだろうか? 「カステラの老舗」、株式会社文明堂神戸店代表取締役社長の片山智絵さんにお話を聞いた。
いつもなら、百貨店の地下フロア、通称“デパ地下”は、和洋問わず、年の瀬は進物などを選ぶ人たちであふれているもの。お年賀などにおけるチョイスとしては、第一に安いものではなく、ある程度の高級感が求められる。ではなぜカステラなのか? 文明堂の片山さんはその理由を、“カステラの持つ歴史”と話す。
カステラはその昔、“南蛮渡来のお菓子”として長崎を中心に広く知られるなか、文明堂は1900(明治33)年に初代の中川安五郎氏が創業し、120年を超える歴史を持つ。材料となる小麦粉や卵、砂糖は創業当時、高級食材であり、庶民が口にすることができなかったことから、「カステラはかなりの高級品として扱われてきた」と、片山さん。「時代が変化する中でも、高級品として進物などの地位を確立したのではないか」と述べた。
年末年始のご挨拶の品の条件として、最も大事なのは、もらった方々が喜んでくれること。そう考えると、日本の多くの人が愛されるカステラは、今後も進物の定番として、人々に喜ばれる商品であり続けるのではないだろうか。
※ラジオ関西『ばんばひろふみ!ラジオDEしょー!』2020年12月23日放送回より