レディスの靴下、下着、ルームウェアを中心に手掛け、インナーの人気ブランドの1つとして地位を築き上げてきた、株式会社チュチュアンナ。1973年、前身である有文商店を創業し、それから45年あまり、時代の変化とともに様々なデザイン・トレンドを作ってきた。
近年は海外事業など幅広く展開し、飛躍を遂げるなか、このたび、大阪・森ノ宮駅前のチュチュアンナ本社で、上田利昭会長に創業時の話を聞いた。
チュチュアンナ創業前は、株式会社ニチイ(現:イオングループ)に入社した、上田氏。最初の配属先は紳士靴下売り場。当時の靴下は、代わり映えのないシンプルなものが多かった。店頭で商品整理をしていると、売れ残った商品から声が聞こえてきたような気がしたという。「私はなぜまだ嫁にいけないの……?」「隣の友だちはよく売れるけど、私はいつまでここにいるの……?」
ニチイ入社前の学生時代から起業を志していた。その思いは強く、入社1年目に退職願を出して起業へ進もうとしたことも……。
ニチイで経験を積むなか、目指す業種について、当時は「靴下の仕事だけはしたくないねん」「自分には向いていないんじゃないか」などと友人に漏らしていた。靴下産業が身近にあり、その大変さをわかっていたからこそ、ハードルの高さを感じていた。それでも、経験と知識を生かせる業種であること、そして最後は友人の後押しで、決意を固めた。
事業を大きくしていくなかで、“ルーズソックス”や“柄タイツ・ストッキング”といった、時代を象徴するファッショントレンドも作ってきた。創業前に向き合っていた「靴下」とは、いまやデザインも機能も大きく変わっている。
売り場から聞こえた『声』、そして、一時は「自分には向いていないんじゃないか」という葛藤。それでも、一念発起して今に至る。上田会長の、他の人にはない『靴下への愛』があったからこそ、チュチュアンナの躍進が生まれたのではないだろうか。
チュチュアンナ本社ビルは、なんと靴下の形を模している。こだわりのビルからも自社・事業への愛が感じられる。