JR西日本は、乗客106人が死亡し、562人が重軽傷を負った福知山線脱線事故の追悼慰霊式を、発生から16年となる2021年4月25日に新型コロナウイルス感染防止策を講じて行う。会場は事故現場一帯で整備された慰霊施設「祈りの杜」(兵庫県尼崎市久々知)。
参列者を遺族や負傷者に限定、例年の半数となる約300人に抑え、伊丹市内のホテルに設けた別会場やそれぞれの自宅でも中継映像を見られるようにする。
「祈りの杜」 での開催は事故発生14年の2019年から。コロナ感染拡大を受け昨年(2020年)は初めて中止された。
事故当時、3両目に乗り負傷した伊丹市の増田和代さんは、ラジオ関西の取材に「事故の風化を防ぐという意味では追悼慰霊式は大切かもしれない。しかし事故現場である『祈りの杜』には亡くなられた方々の御霊(みたま)は存在しないと思う。大事なのは、場所に固執するのではなく、もう2度とこのような事故を起こさないことと、急がぬ社会を作っていくこと」と話す。
増田さんは昨年、有志とともにJR伊丹駅前でバルーンに追悼のメッセージを書き込み、近くの猪名川河川敷で飛ばした。今年も事故発生時刻の午前9時18分に合わせ、個人で追悼のバルーンを空へ手向ける。