詩のような映画『ノマドランド』 オスカー最有力 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

詩のような映画『ノマドランド』 オスカー最有力

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 会社の倒産とともに、長年住み慣れたネバダ州の自宅を失った女性・ファーン。彼女が選んだのは、亡き夫との思い出を小さなキャンピングカーに詰め込んで、〈現代のノマド=遊牧民〉としてクルマで旅をつづけながら過酷な季節労働の現場を渡り歩くことでした。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと交流し、彼女の自由な旅は続く……生きる希望をアメリカ西部の広大な自然の中で発見するロードムービー『ノマドランド』が3月26日(金)、OSシネマズミント神戸・アースシネマズ姫路・TOHOシネマズ梅田などで公開されます。

 原作はアメリカのジャーナリスト、ジェシカ・ブルーダーによるノンフィクション「ノマド: 漂流する高齢労働者たち」(春秋社刊)です。でもこの映画は、ノンフィクションではありません。『ザ・ライダー』で映画各賞をとったクロエ・ジャオ監督が、エピソードをリアルなドキュメンタリーのように見せる新しい表現スタイルで撮影しています。

 主人公・ファーンを演じるのはフランシス・マクドーマンド。彼女は、映画のストーリーと同じように旅をしながらクルマで移動し、Amazon配送センターや国立公園のキャンプで実際に仕事をする人たちに混じりながら働いたそうです。『ノマドランド』には実在のノマドたちが多く登場します。物々交換をしながら生活を維持し、キャンピングカーの不自由さを楽しんでいます。

 この『ノマドランド』は、映像が表現する“詩”のような作品です。ストーリーはシンプルですが、作品を鑑賞して受けとめるイメージはカオスで、人によって解釈が異なる映画です。クルマで移動しながら生活して自由に生きる、気ままに時を過ごす、ってとても贅沢ですよね。

 旅を繰り返すこの生き方は楽しそうですが、でも現代でこの暮らしをすると苦しくつらいこともたくさんありますね。『ノマドランド』はこうした格差や貧困、高齢化の問題にも迫っています。

 ファーンが訪れる旅先でどこまでも広がる美しい大自然を映画館の大スクリーンで観れば、きっと引き込まれて自分がノマドになった気分を味わえるでしょう。自由とは? 幸福とは? 豊かさとは? ゆっくり考えたいテーマです。

『ノマドランド』は、今年のアカデミー賞・最有力候補といわれていて、作品賞・監督賞・主演女優賞・脚色賞・撮影賞・撮影賞の6部門にノミネートされています。アカデミー前哨戦とされるゴールデングローブ賞では作品賞と監督賞を獲得しました。また、ベネチア国際映画祭の金獅子賞、トロント国際映画祭の観客賞を受賞するなど高い評価を得ています。アカデミー賞授賞式は、日本時間で4月26日(月)午前。フランシス・マクドーマンドがもし主演女優賞を獲れば、3度目です。

 映画『ノマドランド』は3月26日(金)、全国公開。(SJ)


映画『ノマドランド』公式サイト

『ノマドランド』本編映像<RTR編>


『ノマドランド』本編映像<Morning Coffee>


『ノマドランド』特別映像<Pioneers In A Modern America>

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Playlist of Harborland | ラジオ関西 | 2021/03/25/木 13:37-15:00

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