お手ごろな価格の既製品で家のインテリアをコーディネートする方も多いだろう。その一方で、自分の家に合った家具がほしいとハンドメイド家具に乗り換えるケースも増えているという。
では、どのようにハンドメイド家具を取り入れたら良いのだろうか。ハンドメイド家具を提供する「六森」(神戸・六甲アイランド)で代表を務める稻田惠美さんに、詳しく話を聞く。
「機械で作業をする部分もありますが、細かいところは職人の手で作り上げていくのが、ハンドメイド家具です。確かに値段は既製品よりも多少上がります。ただ、既製品に少しプラスするだけで、自宅に帰ってほっと一息つける場所を自分好みの仕様に変えていけるということには、価値があるのではないでしょうか」(稻田さん)
ソファの場合、使う樹木の種類や足の高さ、クッションの硬さや張り具合までも自分好みで指定する。たとえば、主婦からの「私は左側、主人は右側によく座るので、右側の方だけクッションを硬めにしてほしい」という細かいリクエストがあっても、ハンドメイド家具なら対応できる。自分の理想に近い家具を探すのではなく、自分の理想に家具を近づけるというものだ。
とはいえ、自分が思い描いている家具のイメージをしっかりと伝えられるか、不安な場合もあるだろう。
実際には、抽象的な注文をする方も多いようで、「高めのパソコンデスクを探している方がいました。プリンターは14センチのものを置くと決めておられて。そこには水槽も置きたいし、そこで野菜も育てたいという注文でした。さらにはコンセントの配線も通せるようにデスクにくぼみを作り、そこにピタっと収まるようにしたいと……」。一見、難しそうな注文でも、稻田さんたちからすれば、むしろ「腕がなる」のだそう。思うがままに理想の絵を描いてもっていけばよい。
購入するお客さんは40代以上の子育てが一段落した方が多いという。生活スタイルが変わってきて、この先はなるべく買い替えなくても良い家具を、ということで店に足を運ぶ。「図面を持って来て『このスペースに置きたいです』と相談いただく場合もありますし、状況によってはお客さんの家に直接伺って見せてもらうこともあります」。