兵庫県は独自の新型コロナウイルス対策として、「扇子・うちわ会食」を呼び掛けている。井戸敏三知事は3月、定例記者会見で「黙っての食事や、いちいちマスクを着けることは徹底できないのではないか。私なら扇子やうちわで口の前をカバーし、飛沫を飛ばさない工夫をする」と述べていた。そして「まん延防止等重点措置」の対象区域となった神戸、尼崎、西宮、芦屋の4市にある飲食店、約1万6千店に4月15日以降、計32万本のうちわを配る。各店舗20本ずつ配布する計算だ。
4月9日の会見で井戸知事は「飛沫を防ぐフェースシールドをヒントにした。フェースシールドがOKならば、飛沫感染防止でうちわや扇子もOKなはず」と述べた。さらに12日の会見でも改めて「会食の際のマスクについてもいろいろな評価がある。飛沫を防ぐための心がけが大事」と述べた。
神戸市内でバーを経営する40代の男性は「お客様に『マスク会食してください』とは言いづらいですよ。食事がメインのお店と違って、静かにお酒を飲んでもらうタイプのお店なんで。お客様の居心地が悪くなったら、もう来てもらえなくなったらと思うと言えません。今、日々の営業は死活問題、毎日が必死なんですから。ところで素朴な疑問ですが、 うちわを持ったら本能的にあおいでしまうと思うのですが、飛沫は大丈夫なんでしょうか」と話した。兵庫県・防災企画課は「配布するうちわについて、あくまでも口元を覆うためのものととらえていただきたい」としている。
大阪府では会食中の飛沫対策として、飲食店での「マスク会食」を呼びかけている。一方、神戸市の久元喜造市長は4月1日の会見でマスク会食について マスクを着けたり外したりするとウイルスを触る危険性があり、かえって危険」と懸念、市民にマスク会食を「求めるつもりはない」 とのスタンスを取っている。