お酒の知識はオトナの証。とはいえ、バーに並ぶ多くのラインナップに圧倒されてなかなか自分らしいオーダーができないことも。また、なかなかお店で飲めない今、“おうち時間"で楽しもうと思っても、初心者だと、何か始めればいいか、さっぱりわからない……。
さらに、ここで気になるワードも。「シングルモルト」……。バーテンダーからふらっと聞かれるこの言葉、いったいどんな意味があるのか。“ググって”みればすぐわかることとは思うが……、ここは実際にバーテンダーに聞いてみたい。そんな思いから、神戸・花隈にある「Bar SAVOY hommage(サヴォイ・オマージュ)」の店主でバーテンダーの森崎和哉(もりさき・かずや)さんに直撃してみた。
最近はジャパニーズウィスキーも人気で、そのなかでもよく出てくる「シングルモルト」。森崎さんがいうには「単一の蒸留所のもの“のみ”で作られたもの」。つまり、他の蒸留所のものを混ぜ合わせないということだ。
あまりウィスキーに興味のない人間からすると「(混ぜないことに)そりゃそうだろう」とは感じるが、一昔前の流行としては、いろいろな蒸留所のウィスキーを混ぜて作られた「ブレンデットウィスキー」があり、「それも1つの特徴だ」(森崎さん)。
では「シングルモルト」の味はどうなのか? 「前述の『ブレンデットウィスキー』は、混ぜ合わせることでやわらかく、飲みやすいものとなり多くの人に愛されてきた。最近人気となった『シングルモルト』は単一の蒸留所で作るため、その個性が反映されやすいウィスキーだ」と、森崎さん。具体的な銘柄を次のようにあげて、その特色を説明する。
「例えばサントリーの『山崎』は赤ワインの熟成樽で最後合わせて、バランスよく甘く、華やかな感じが出ている。一方、ニッカウヰスキーの『余市』は、力強さと麦芽をかもしながら乾燥させる製法を取っているので、“ピーティ”(煙に燻された感じ)を感じる。明石・江井ヶ島酒造の『あかし』は蒸留所が海に近いので、熟成させる樽も外気を吸いながら熟成するので、磯っぽいものを探りながら飲むと『あっ、いるな』と感じる」
森崎さんは、シングルモルトについて「それぞれ蒸留所ごとに個性があるので、飲む人たちにとっても色々な(味の)取り方もいろいろあっていい」と気軽にウィスキーを楽しむことが大事と話した。
※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』2021年4月13日放送回より