デザイナー・コシノヒロコの全貌に迫る「コシノヒロコ展 EX-VISION TO THE FUTURE 未来へ」が兵庫県立美術館で開催されています。緊急事態宣言を受けて、美術館は一時休館となりましたが、5月12日に再開。見どころなどについてコシノヒロコさんに聞きました。
【コシノ】 60年間クリエイトしてきた全貌を見せるというか、そういう意味では回顧展ではなく『今』通用するような作品を、私のファッションの作品は2000点くらいあるんですが、その中の5分の1くらい、250点、そしてアーティストとしてもやっているので、その中の200点を展示しています。ファッションとアートを同時にというか、アートがありファッションがあるといった1つのプロセスを一挙にみられるといった、おそらく世界で初めての展覧会です。ファッションデザイナーがこうしたアーティストとしての仕事を同時にやっている人は全くいないので……。
――展示室は14あり、それぞれにオノマトペがつけられています。
【コシノ】 「ギャー」とか「ニョキニョキ」など。こどもが見ても、誰が見ても、細かい説明がなくても、何を目指しているのかがわかるような感覚的な言葉をそれぞれの部屋に掲げていて、非常に楽しく、見るだけで元気になれるような展覧会なんです。絵と洋服が一体になっている部屋があったり、カラーばっかりとか、その次の部屋はモノクロ、その次はびっくりするようなニョキニョキって足が300本ぐらい壁から突き出していて……それは長年やってきたデザインのタイツ=ストッキングです。それがアートと一体になっているような……これが皆さんびっくりして腰を抜かすんですよ。そういう面白い仕掛けがあったりとか。
ちょうどコロナ禍で描いていたメルヘン調の絵があるんです。それをそのまま展示するのではなく、動くような立体的な映像にして……その部屋に入ると小鳥や動物たちが飛び出してくるような、ちょうどテーマパークみたいな形で、とても面白いですね。
――この部屋では、子どもの声に合わせ動物たちが動き、「ふしぎな世界」が広がります。そして圧巻というのが最後の部屋。関西フィルハーモニー管弦楽団による「ドビュッシー作曲 牧神の午後への前奏曲」が流れています。
【コシノ】 ファッションの作品の内106点をマネキンに着せ、階段のようなところに展示しています。一見オーケストラみたいな形、演奏者の周りに合唱する人みたいな雰囲気を出していて、真ん中に指揮者。私がデザインした燕尾服をきてタクトを振っています。子どもが美術館に来ると飽きてしまうみたいなことがあるんですけど全然、帰りたくないというような感じで、皆さん元気になってもらえるような展覧会です。
◆コシノヒロコ展 EX-VISION TO THE FUTURE 未来へ
会場 兵庫県立美術館
会期 2021年4月8日(木)~6月20日(日)
休館日 月曜
【特別展サイト(兵庫県立美術館HPより)】