舞踊家・田中泯の身体能力に惚れる! 葛飾北斎の生涯を追った話題作『HOKUSAI』解説 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

舞踊家・田中泯の身体能力に惚れる! 葛飾北斎の生涯を追った話題作『HOKUSAI』解説

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 柳楽優弥、田中泯、阿部寛をはじめとする個性派俳優陣が出演、葛飾北斎の生涯を描いた映画『HOKUSAI』が、現在全国公開中。今作を、映画をこよなく愛するラジオパーソナリティー・増井孝子さんが解説します。

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 世界中のアーティストからリスペクトされる江戸の浮世絵師・葛飾北斎。モネ、ドガら印象派の巨匠たちや、その後に続くゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、アール・ヌーヴォーを代表するガラス工芸家のガレなど、彼に影響を受けた芸術家は数えきれない。また、作曲家のドビュッシーは管弦楽曲『海』の初版スコアの表紙に、あの“波”を採用した。

 2020年には日本のパスポートデザインに採用され、2024年には新紙幣にも登場する予定で、アメリカのLIFE誌のミレニアム特集号『この1000年で最も重要な出来事と人物100選』では、唯一紹介された日本人だ。

 6歳で絵を描き始め、19歳で絵師としてスタート。90歳で亡くなるまでに発表した作品は3万点を超すというから、一日一作以上の作品を制作したことになる。

『HOKUSAI』 5月28日(金)全国ロードショー (C)2020 HOKUSAI MOVIE

 68歳のとき脳卒中で不自由になった体をなんと自力で治し、70歳を超えて、あの有名な波の絵 『神奈川沖浪裏』を含む代表作『富嶽三十六景』で大ブレイク。あまりの爆発的ヒットに、版元が10図を追加して“三十六景”を名乗りながら46図あるというこのシリーズ。海外から新しく入って来たプルシアン・ブルー“ベロ藍”の色鮮やかさと、当時、篤い信仰の対象であった富士山が描かれているというのも人気の秘密だったようで、飛ぶように売れたという。

 とにかく人気が出るよう、その企画から制作(浮世絵は絵師が絵を描き、彫師が版を彫り、摺師が摺るという連係プレーで生み出される版画)、販売まで含めてトータルでプロデュースしていたのが、現代の出版社にあたる“版元”。

 貧乏絵師だった勝川春朗、のちの葛飾北斎(柳楽優弥)に才能を見出したのが、稀代の版元・蔦屋重三郎(阿部寛)だ。

 匂い立つ美人画の喜多川歌麿(玉木宏)、役者絵の新境地を開いた謎の天才絵師、東洲斎写楽(浦上晟周)らを世に出した名プロデューサー・重三郎は、北斎が苦悩の末に「ただ、描きてぇと思ったもんを、好きに描いただけだ」という波の絵に、「やっと化けたな」と目を細め、世界地図を広げる。「絵を見るにゃあ、文字も言葉も関係ねぇ。面白ぇもんはどこに行ったって面白ぇ。絵は、世の中変えられるんだぞ……」と、世界に打って出る野望も語るが、その数日後に48歳でこの世を去ってしまう。


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