女子プロ野球が淡路島に残したもの(1)選手たちのいま 大山唯さん | ラジトピ ラジオ関西トピックス

女子プロ野球が淡路島に残したもの(1)選手たちのいま 大山唯さん

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 この夏の全国高校野球選手権大会の決勝前日、高校女子の全国大会(全国高校女子硬式野球選手権大会)の決勝戦が、史上初めて阪神甲子園球場で開かれる。女子野球のチームは学生からプロまで全国その数が増えていて、年々その裾野が広がっている。兵庫県の淡路島には2017年まで女子プロ野球チーム「兵庫ディオーネ」があった。地元を中心に根強いファンに支えられていたが、18年に愛知に移った。女子プロ野球が淡路島に残したものは何だったのだろうか。

 121試合、362打数143安打47打点、打率3割9分5厘、出塁率4割8分9厘。最優秀選手、ベストナイン、最優秀新人賞。これは、元女子プロ野球選手・大山唯さんが3年間のプロ生活で残した記録と主なタイトルだ。

 埼玉県生まれの大山さんは幼い時から、父親とカラーバットとボールで遊ぶ野球少女だった。

「(野球界を目指す)一番のきっかけは小学5年の時。女子の世界大会(硬式)が日本で開かれるのを知って、日本代表でプレーしたいと思ったんです。そのためには硬式でやるしかないと思い、リトルシニア(リーグ)に進みました」

 男子とともにプレーし、地元の指導者からは知られる存在になっていった。その後、強豪・花咲徳栄高校から尚美学園大学に進学、硬式野球一筋に歩み、2014年に日本女子プロ野球リーグに飛び込んだ。東北レイアで1年プレーした後、翌年埼玉アストライアに移籍。その前半戦終了後から、兵庫ディオーネのユニフォームに袖を通した。「埼玉から出たことがなく、初めて県外で住んだのが淡路島でした」。

兵庫ディオーネ時代の大山唯さん(写真:本人提供)

 不安な気持ちで移り住んだ淡路島だったが、それはすぐに消えた。「すごく歓迎してくれて、淡路の人たちが家族のように接してくれたんです。応援してくれる人たちのためにも頑張りたい活躍したい、と思いました」。この言葉の通り、このシーズンは打率4割7厘、出塁率4割7分9厘の好成績で首位打者、最多安打、最高出塁率でタイトルに輝き、2年連続でベストナイン、打者の最優秀選手に選ばれた。翌シーズンも打率4割7厘、待望の本塁打も打ち、ディオーネの優勝の原動力にもなった。しかしシーズン終盤の9月に突然、現役引退を表明した。

「全力で毎年やりきって『全部やりきったな』という思いでした」。彼女はその後、出身地の埼玉アストライアでコーチと監督を歴任し、2019年で女子プロ野球から完全に引退した。

 大山さんはいま、あるテーマパークで仕事をしている。

「小さい時から大好きだったんです。毎日同じ仕事だけど、同じことがなく、ゴールや正解もなく、試行錯誤して次の日を迎える……そういうところは女子プロ野球と似ています」

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