明石家さんまが企画・プロデュースし、かつての伴侶である大竹しのぶをはじめ、Cocomi、花江夏樹、マツコ・デラックスら個性的なキャスト陣がそろった劇場アニメ映画『漁港の肉子ちゃん』が、6月11日から全国ロードショー。今作の魅力を、映画をこよなく愛するラジオパーソナリティー・増井孝子さんが解説します。
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映画を観に行くとき、何を基準に観る映画を決めるかは、人それぞれだろう。お気に入りのスターの出ている作品だから、監督が好きだから、興味のあるテーマだから、ちょうど時間的にピッタリだったから、話題になっている作品だから。話題の作品は観ていないと、会話に入っていけなくてつまらないから……というのは、最近減ってきたように思う。
そもそも映画を観て、食事したりお酒を飲んだりしながら、思いをぶつけ合うなんてことができなくなって久しい。グループで激論を戦わせるなんて、夢のまた夢だ。観客数にも、上映時間にも制約のある映画館で、一人静かに鑑賞し、おとなしく帰る……。コロナ禍で、映画の楽しみ方が変わった。いや、変えられた?
それに、ちょっとしたことにも、突っかかっていくようなギスギスした雰囲気の日常。この映画のキャッチコピー「みんな望まれて生まれてきたんやで」に、ネットで賛否両論の嵐が吹き荒れていると聞いて、ちょっとビックリした。
「産んでほしい」と頼んだわけじゃないし、「産みたくて産んだんじゃないんだろ?」って言いたくなってしまうほど、生きることがしんどいと感じる人の気持ちは、その人にとっては当然だ。
一方で、虐待やネグレクト、DVや家庭崩壊などのニュースや、それを描いた映画などもたくさんあって、現実と虚構の境目があやふやになって、根拠のない被害者意識を持っている人もいる。あるいは、自己肯定感が低く、自分のことを愛せない人も増えてきたのかもしれない。そう、「みんながハッピー」なんかじゃない。それが現実だ……。
それでも、この世に生を受けたことは素晴らしいし、生きていることはそれだけで喜ぶべきこと、幸せなんだって思わせてくれるのがこの作品。
なんと言ったって、“生きているだけで丸儲け”が座右の銘だという、あの明石家さんまが企画・プロデュースしているのだから、プラスのオーラにあふれているのだ。
◆劇場アニメ映画『漁港の肉子ちゃん』
6月11日(金)全国ロードショー
企画・プロデュース:明石家さんま
出演:
大竹しのぶ、Cocomi、花江夏樹、中村育二、石井いづみ、山西惇、八十田勇一、下野紘、マツコ・デラックス、吉岡里帆
原作:西加奈子「漁港の肉子ちゃん」(幻冬舎文庫)
監督:渡辺 歩
総作画監督:小西賢一
美術監督:木村真二
脚本: 大島里美
音楽:村松崇継
主題歌:稲垣来泉「イメージの詩」
作詞・作曲:吉田拓郎
編曲:武部聡志
サウンドプロデュース:GReeeeN (よしもとミュージック)
エンディングテーマ:GReeeeN「たけてん」(ユニバーサル ミュージック)
演出:秋本賢一郎
CGI監督:中島隆紀
色彩設計:伊東美由樹
音響監督:笠松広司
編集:廣瀬清志
アニメプロデューサー:青木正貴
アニメーション制作:STUDIO4℃
配給:アスミック・エース
製作:吉本興業株式会社
(C) 2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会
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