「播磨の法隆寺」。聖徳太子(厩戸皇子・うまやどのおうじ 574~622) ゆかりの天台宗の古刹・鶴林寺(兵庫県加古川市)で、沙羅(ナツツバキ=夏椿)の花が訪れた人々を和ませる。今年は咲き始めが早く、6月いっぱいが見頃。
仏教容認派と、物部氏ら率いる反対派の対立を避け、播磨の地に身を隠していた高句麗の渡来僧からの教えを受けようと、12歳だった聖徳太子が立ち寄り、太子の政治的なブレーンとなり、強く影響を与えた渡来系氏族・秦河勝(はたのかわかつ)に命じて587年に三間四面の精舎を建立させた「刀田山四天王寺聖霊院」が起源とされる。1112年に鳥羽天皇から勅額を受け、寺号が「鶴林寺」となる。
2021年は聖徳太子の1400年忌に当たる。世界遺産・法隆寺(奈良県斑鳩町)や、太子の墓がある御廟所・叡福寺(えいふくじ・大阪府太子町)では遺徳を偲ぶ法要が、命日がある4月に営まれた。四天王寺(大阪市中央区)でも10月に「御聖忌慶讃大法会」が予定されている。
鶴林寺も新型コロナウイルスの影響で3月の太子会式(太子祭り)は規模を縮小した。そして来年(2022年)の春にも、記念行事ができればと考えている。
鶴林寺は5月23日に、東京五輪・聖火リレーの加古川市での終着地点として予定されていた。それに合わせ、秘仏五体の一つ「韋駄天(いだてん)像」の特別公開を土日祝に予定していたが、コロナ禍で公道でのリレーが中止となり、ご開帳も打ち切りに。