兵庫陶芸美術館で8月28日まで特別展「受贈記念 赤木清士コレクション 古伊万里に魅せられて―江戸から明治へ―」が開かれている。同館の学芸員・村上ふみさんによるリモート・ミュージアム・トークを3回にわたって紹介する。第2回のテーマは「輸出伊万里」。
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兵庫陶芸美術館では、2021年8月28日(日)まで、特別展「受贈記念 赤木清士コレクション 古伊万里に魅せられて―江戸から明治へ―」を開催しています。本展覧会では、神戸の収集家・赤木清士氏(1937-2019)が収集した、江戸後期から明治期に有田で作られた作品を中心とする陶磁器コレクションを通して、その魅力を紹介しています。
今回紹介するのは、江戸時代中期に作られた輸出伊万里です。
江戸時代初頭、日本で初めて磁器作りに成功した肥前有田(今の佐賀県西松浦郡有田町)は、現在まで日本有数の磁器産地として続いています。
一般的に「古伊万里」というと、江戸時代に有田で作られた磁器を指しますが、厳密には伊万里港(佐賀県)から出荷された陶磁器であるため、有田産以外のものも含まれます。これが明治期になると、鉄道が開通し、各生産地から消費地へと直接運ばれるようになり、有田焼や伊万里焼というように、各産地の地名で呼ばれるようになります。
17世紀半ばから18世紀半ばにかけ、オランダ東インド会社を通じて海外に輸出された有田の磁器。赤木清士氏が初期にコレクションした古伊万里には、コーヒーポット、調味料入など、海外からの需要に応じて焼かれたものが見られます。(兵庫陶芸美術館学芸員・村上ふみ)
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