ラジオ番組では、放送できない言葉や曲、放送するのに注意が必要なものがあるといいます。ラジオの「放送禁止用語」や「放送禁止歌」は誰がどのように決めているのでしょうか。普段はラジオを陰で支えている技術スタッフが、ラジオ番組のなかで解説しました。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「放送禁止用語」「放送禁止歌」は、法律によって決まっているわけではなく、放送局などが自主規制として、放送しないようにしています。「その放送を聴いて、リスナーが傷ついたり、不安に感じることのないように、気を付けましょう」ということです。
差別的なものなど、内容が放送にふさわしくないという場合もありますが、ラジオの放送では、音が小さくて無音に近いような曲など、技術的な意味で放送時に注意が必要な場合もあります。曲中でフェードインやフェードアウトが長かったり、音が小さく無音に近い部分がある曲はミキサー操作でレベルを上げるなどの対応が求められます。
アメリカの作曲家ジョン・ケージの「4分33秒」という曲は楽器のパートがなく、その場で自然発生した音や環境音のみを聴く内容になっているため、スタジオで演奏した場合には実質「無音」となってしまい、放送が不可に。無音が長い曲は、テレビやネット配信では放送することができますが、音のみで伝えるラジオではオンエアできません。
また一部のクラシック曲や、X JAPANの「ART OF LIFE」など演奏時間が長い曲は、リクエストが多かったとしても、番組の制作上フルバージョンでかけられない場合が多く、ディレクターの悩みどころとなります。
曲自体に問題がなくても、過去には曲中の「SE」部分が放送できないケースもありました。ピンク・レディーのヒット曲「S・O・S」は、冒頭にモールス信号が入っており、このモールス信号が遭難信号の発信音であったため、放送電波で広く救助信号を発信することはふさわしくないとして、以前は放送時には冒頭部分のみカットしていました。今では、モールス信号による遭難信号の発信は廃止されていますが、それでも局の判断で、あえての放送を避ける場合もあります。
神戸のラジオ局・ラジオ関西(神戸市中央区)では、放送禁止とされているレコードやCDにはスタッフが手書きで「注意」と書き込み、間違って放送されないように管理されています。また同じ曲の再録版やバージョン違いにも「注意」と書かれていることがあります。これは原曲をかけたい場合に、間違って再録版を放送しないための対策です。
もし興味がある方は、番組にハガキでおたよりをお待ちしています。
宛先 〒650-8580 ラジオ関西『おしえて!サウンドエンジニア』
ラジオ関西技術センターがお送りする番組で、あなたの質問が読まれるかも……!
【放送音声】