2019年、兵庫県姫路市の男性(当時47)に刃物で切り付け殺害し遺体を山中に遺棄したとして、殺人・死体遺棄などの罪に問われた特定抗争指定暴力団・神戸山口組系組員(42)の裁判員裁判で、神戸地裁姫路支部は16日、求刑通り懲役27年を言い渡した。
組員は少年8人と共謀し2019年11月、兵庫県高砂市の路上や車内で、金銭トラブルがあった男性にナタで切り付けたり、バットで殴ったりするなど暴行して殺害。遺体を兵庫県たつの市内で地中に埋めた後に堀り起こし、京都府福知山市内の山林に再び遺棄したなどとしている。事件をめぐっては組員の起訴後、同じ組の組長(48)らも共犯として傷害致死罪などで起訴された。
検察側は「被告は被害者の背後から鋭利なナタで攻撃し、その後袋だたきにした」と指摘。さらに共犯の少年らにも襲撃するよう指示し、危険で卑劣な犯行だとした。一方、弁護側は最終弁論で「殺意はなかった」と殺人罪の成立を否定、傷害致死罪にとどまり、懲役12年が相当だと主張していた。組員も法廷で「あれぐらいのナタで(男性が)死ぬとは思わなかった」と殺意はなかったと述べていた。
判決で神戸地裁姫路支部は争点の「殺意」について認定した。理由は「被告は大型の『ナタ(全長約40センチ』を上方に振り上げて被害者の頭部へ振り下ろす行為自体が、死に至らしめる危険性を感じ得た」と指摘。さらに「精神的支配下に置いた少年8人を巻き込み、被害者を襲撃するという卑劣で身勝手な犯行」と非難、真摯な反省もなく、相当長期の刑に処すべきとした。