姫路市文化コンベンションセンター「アクリエひめじ」(兵庫県姫路市神屋町)の東に隣接して兵庫県が建設を進めている新病院「(仮称)県立はりま姫路総合医療センター」が来年(2022年)5月1日に開院すると決まった。
姫路市内にある県立姫路循環器病センター(姫路市西庄甲)と製鉄記念広畑病院(姫路市広畑区夢前町)が統合して誕生する病院。診療科目は2病院から循環器内科や消化器内科、外科、産婦人科などを引き継ぐだけでなく、血液内科や感染症内科、歯科口腔外科といった、より専門的な科目を新設して、全34科目が揃う。病床数736床は県内に14か所の県立病院でも最大規模という。
計画の段階では想定していなかった新型コロナウイルス感染症の中等・重症患者を受け入れるため、陰圧切り替えや換気強化機能を一部病室(重症4床・中等症11床)で導入するなど設計変更も行われている。
また新病院は、地元大学の教育・研究機関を併設していることも特徴。病院棟横に建つ5階建ての別棟に兵庫県立大学と獨協学園の施設が入る。
兵庫県立大は先端医工学研究センターを開設し、同大学が持つ工学や理学、情報科学などの知見を活かして地元企業と新しい医療関連機器を開発するほか、AIやビッグデータを駆使するデジタルヘルスと呼ばれる分野で医療人材育成に注力していく。
兵庫県立大と企業との研究開発は各方面ですでに進められており、最近では、高度な画像認識技術を持つグローリー株式会社(姫路市下手野)と製鉄記念広畑病院との共同で、骨盤の骨折をCT画像からAIで自動検出する手法を開発したことが発表されたばかり。開院後の研究センターで実用化に向けてさらに研究が進められることになる。
病気やケガの治療だけでなく、新しい医療産業の創出にも期待がかかる新病院。任期満了間近の井戸敏三知事も「開院が1年早ければコロナ対策に役立ったのだが、その分、アフターコロナの医療対応に存分に機能を発揮してもらいたい」と話している。(播磨時報社)