ラジオのスタジオで番組を司るパーソナリティーの目の前にあるものと言えば、マイクやイヤホン、原稿用紙(放送台本)、そして、カフボックスです。そのカフボックスとはいったいどんなものなのでしょうか。普段はラジオを陰で支えている技術スタッフが、ラジオ番組のなかで解説しました。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
カフボックスは、カフやカフスイッチとも言い、しゃべり手が操作することで、自分のマイクのONとOFFを切り替えることができるものです。マイクの音量や音質は、コントロールルームでミキサーによって調整されますが、カフボックスはスタジオの中のパーソナリティーの手元にあり、パーソナリティー自身が操作を行います。
「カフ(cough)」は「咳」を意味する言葉で、しゃべり手が咳をしたいとき、また曲やCMが流れているときに、マイクに声が放送にのらないように、オフにすることができます。収録と違って、生放送の場合は後で編集するというわけにはいかないもの。そのため、カフボックスはラジオのオンエアスタジオに欠かせないアイテムの1つです。
新人アナウンサーが最初にオンエアで声を出すことを「初鳴き」といいますが、「初鳴き」ではしゃべっているのに声が放送されない、というトラブルがよくあります。初めての放送では、緊張してカフ操作を忘れてしまうことが原因です。ベテランスタッフの声掛けなど、現場では注意が必要です。
神戸のラジオ局・ラジオ関西のオンエアスタジオには、2つのカフが設置され、2人のパーソナリティーがそれぞれ自分のマイクのオン・オフを操作できるようになっています。取り扱うカフボックスは、ヤナミというメーカーのもので、25年もの間、スタジオで使われています。コントロールルームのミキサーも同じヤナミ製で、ミキサー側でもカフ操作を行うことができます。スタジオミキサーには他にも、トークバックという機能がついていて、スイッチを押すとディレクターが「カフを上げてください」などとパーソナリティーに呼びかけることができます。トークバックの会話はオンエアにはのらず、しゃべり手のイヤホンにだけ聞こえる仕組みになっています。
カフボックスはラジオスタジオ以外にも、ナレーションの収録スタジオや、劇場の舞台袖にあるナレーションブースにも設置されています。学校の放送室にも設置されているところがあります。
レバーを上げると赤いランプが付くカフボックスもあります。カフを上げて、ランプがついている間は、パーソナリティーがたくさんのリスナーとつながっている瞬間なのです。
もし興味がある方は、番組にハガキでおたよりをお待ちしています。
宛先 〒650-8580 ラジオ関西『おしえて!サウンドエンジニア』
ラジオ関西技術センターがお送りする番組で、あなたの質問が読まれるかも……!
【放送音声】