「熱中症の予防啓発」を目的に、今年7月に大阪市の中之島公園に設置された「中之島 温度計付き時計『地球の体温計』」。そのお披露目と点灯式がこのほど開催された。
7月26日に行われた式典には、この温度計付き時計を寄贈した「アート引越センター」を運営するアートコーポレーション株式会社代表取締役会長の寺田寿男氏や、デザインを手がけた建築家の安藤忠雄氏、そして、来賓として松井一郎大阪市長や吉村洋文大阪府知事らが出席した。
中之島公園内の東洋陶磁美術館向かいにある、この温度計付き時計は、銀色と透明なガラスで構成された高さ3メートル10センチ、直径が約1メートル60センチの三角錐型のフレームの中に、青く輝くLEDライトによる円柱形の温度計を設置。土台部分にはデジタル時計が配置され、時を知らせてくれるというもの。
普段から中之島公園に愛着があり、愛犬の散歩やウォーキングコースとして利用していた、寺田氏。2019年頃、同公園内を散歩していた時、「時計はあるのに温度計がない」ことに気付いたとのこと。近年、子どもをはじめ増加傾向にある熱中症の予防に、水分補給はもちろん、「外気温」が何度くらいあるのかを把握することが重要と考えた同氏は、同じ大阪市出身で普段から親交のあった建築家の安藤氏に制作を依頼。大阪市の松井市長に設置先の交渉をした結果、中之島公園の一角に設置されることになり、寺田氏の構想から2年、「公園利用者が安全に楽しんでもらえる憩いの場になれば」という思いで、温度計付き時計を寄贈する運びになったという。
一方、安藤氏は、中之島公園内に昨年7月に開館した「こども本の森 中之島」を設計し、大阪市に寄付したことでも知られている。今回の温度計付き時計のデザインについては「未来的な感じだが三角錐は太古の昔から使われ続けてきたデザイン。中之島公園内の豊かな自然に調和させることを考え、樹木をイメージした」とコメント。「中之島には100年前から中之島公会堂がある。これ(温度計付き時計オブジェ)を見ながら100年先にも地球のことをしっかり考え、大阪から世界を見据える子どもが育ってほしい」と思いを語っていた。