なつかしい故郷の方言についてお送りする第2弾。
今回は「ぴりぴり」。
皆さんはご存じですか? 使い方は「雨がぴりぴり降っている」「雨がぴりっときた」です。
「みんな緊張して『ぴりぴり』している」とか「舌が『ぴりぴり』した」というように使うことが多いと思います。ところが、兵庫県の但馬や丹波地方などでは、雨の降り方の表現としてもこの「ぴりぴり」を使います。(地域や世代などによっても異なります) 兵庫県は旧五国(淡路・摂津・播磨・丹波・但馬)が元になっています。その但馬・丹波という、県の北部から北東部などを中心とした地域で、この「ぴりぴり」が使われています。では、どんな状態のことを「ぴりぴり」と言うのでしょうか。
「ぴりぴり」は『雨の降り始めの擬態語』(関西弁辞典/ひつじ書房)とあります。都道府県別全国方言辞典(三省堂)には『雨が少し降る』。そして擬音語や擬態語を示す「オノマトペ」を集めた日本語オノマトペ辞典(小学館)には方言として『こまかい雨が降るさま。「あっ、ぴりぴりしてった。急ごか」(兵庫県)「またぴりぴりしてきましたな」(兵庫県)』と載っています。
他にはない珍しい表現ですが、以前、但馬の方と話をした時に使ってみたところ、とても喜んでくださったことを思い出します。
「ぴりぴり」以外にも雨に関してはおもしろい表現があります。
『しびしび』…小雨の降るさま。しとしと。「雨がしびしび降ってきた」(京都府)。
『したした』…忍びやかな足音や静かに降る雨の音。ひたひた。しとしと。(2つとも日本語オノマトペ辞典)