ポストコロナに向けた兵庫の観光のあり方はどのようなものになるか。劇作家・演出家の平田オリザさんが、自身の冠ラジオ番組『平田オリザの舞台は但馬』(ラジオ関西 毎週木曜午後1時~)で、ゲストの兵庫県産業労働部観光局長の梶本修子さんとともに大いに語り合った。
全国的にこの2年、厳しい状況が続いている、観光業界。一時期は「Go To トラベル事業」で持ち直すも、依然として先が見えないのが現状だ。
ただし、兵庫県の観光業には光明も。2023年の夏(7月~9月)、JR6社によるディスティネーションキャンペーンの開催が決定。地域とJRが連携して行う国内最大規模の観光キャンペーンで、兵庫県では14年ぶりの開催となる。
今回のキャンペーンで採択されたテーマは「御食国兵庫五国の食と体験が織りなす『テロワール(風土)旅』」。摂津・播磨・但馬・丹波・淡路で構成される“兵庫五国”の人々が大切に育んできた土壌・伝統・文化、それらを守ってきた人の技を食材や体験を通して味わってもらいたい、というものだ。
梶本局長は「これまで兵庫県の強みであり弱みであったのが『近隣に強い』観光であるということ。日帰りで済んでしまうと、どうしても消費につながらない。『コト消費』『トキ消費』という言葉も盛んに使われますが、これからの兵庫県の観光は“観光客用にしつらえる”というよりは、普段から地域にお住いの方々が大切にされている食や環境を分かち合い、キャンペーン後もずっと育み、後世につなげるようなものにしたい」と展望をコメント。
今春開学した芸術文化観光専門職大学の学長も務める平田さんも「但馬は関西のプチ贅沢ができる場所として、今のように気軽に海外旅行に行けない状況であっても需要がある。緊急事態宣言で実現しなかったが、豊岡演劇祭で1番先に売り切れたのは『観劇付き観光列車』なんです。リピーターに来てもらうためにはこうした付加価値が必要。兵庫県は安売りをせずに昼のスポーツ、夜のカルチャーなど『良質なコンテンツ』を打ち出すべき。学生らとアイデアを出し合い、大学が知の拠点となれば」と述べていた。
価値観が多様化するなか、兵庫県はどんな「テロワール旅」をしめすことができるのか。兵庫五国が持つ、まだ顕在化していない魅力も掘り起こしながら、新たな観光スタイルを全国にさきがけて発信したいところだ。
※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2021年9月9日放送回より
※『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。
『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 13:00~13:25
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理
メール:oriza@jocr.jp