人によっては平日に毎日着ることもあるスーツ。うまく着こなしている人とそうでない人、いったい何が違うのか。オーダーメイドのスーツの販売を行う「石田洋服店」（神戸・六甲アイランド）の代表、石田原弘さんにスーツ選びのコツを聞いた。
「若年層は、ジャケット単品でも着用が可能というメリットもあるので無地や織柄がオススメです。少し年を重ねた方は、少し若々しいおとなしめのチェック柄も良いです。また、ストライプはあらゆる年代に似合いますが、基本的にストライプの幅が狭くなるほど、地味になると思ってください。逆に幅が広くなるととんでもなく派手になるので、注意が必要。私はストライプを選ばれる場合、幅は大きくても1～2センチにしておいてくださいと伝えています。ストライプ幅が太くなると目立ちすぎて『また着ている』と思われてしまう可能性があります。地味めなものにしておけば、ネクタイやシャツを変えることでいろんなイメージが演出できるため便利です」（石田原さん）
スーツをオーダーする場合は、次のことにも注意が必要だという。
「グレーなのか紺なのか、柄物にするのか無地にするのかといったあたりは決めておいた方がいいです。生地はかなりの種類があり、例えば当店には秋冬のものだけでも1万種類ほどの生地の取り扱いがあります。ばく然としたままいくと、生地を決めるだけでもかなり時間を費やしてしまいます。また、生地を見るときには地面に対して垂直に置いてみた方が、実際に人に見られる角度に近くなります。近くからだけでなく、遠目から見るようにもした方がいいでしょう」
体型に応じた、スーツの選び方のポイントも聞いた。
「よく、お腹が出てくると、お腹を隠すためにダブルブレストのスーツを着られる方が多いのですが、これは逆効果です。襟の部分の角度がゆるやかになるので、目の錯覚により背が低く横長に見えてしまいます。したがって、痩せている人ほど、ダブルブレストがオススメで、太っている人はスタイリッシュなシングルが良いでしょう。オーダー服の場合は立体感があるので、お腹もそんなに気になりません」
冠婚葬祭の際にもスーツを着るが、ここでも注意した方がいい点があると、石田原さんはいう。
「日本では、結婚式で黒のスーツを着ることも多いですが、本来はグレーの方がよりフォーマルです。また、ダブルブレストのスーツを着用する年配の方が多いですが、ダブルブレストはシングルに比べると、よりカジュアルな服装ですのでご注意ください。ダブルブレストは海軍の制服から派生したと言われています。海の上では風が強く、さらに船の向きによって右から吹いてくることもあれば、左から吹いてくることもあります。こうした風を防ぐため、ダブルブレストのように左右の打ち合わせを替えられる制服になっていたようです。元々、作業をする際に着用する服だったので、その歴史を考えるとカジュアルに含まれます」
