「認知症」と「もの忘れ」がどう違うかわかりますか? 実は、そこにははっきりと違いがあるといいます。吉田病院付属脳血管研究所(神戸市兵庫区)の吉田泰久院長に詳しく聞きました。
――もの忘れと認知症は違うものなのですか?
違います。確かに、認知症はもの忘れから始まることが多いのですが、複雑なことができなくなってきます。例えば、数字が分からなかったり、洋服を裏返しや前後逆に着てしまったり。動作に混乱が出てくるのが認知症です。
――朝食で何を食べたか忘れるのはもの忘れでしょうか? 例えば、トーストの他に何を食べたか思い出せない、などは。
部分的に忘れてしまうのは誰にでもあることで、単純なもの忘れです。ところが、朝食を食べたこと自体を覚えていない、薬を飲んだかどうかも分からないなど、その場であったことすべてを忘れてしまうのが認知症におけるもの忘れの典型です。
――もの忘れは、歳を重ねるとどうしても多くなるのでしょうか?
そうですね。老化現象の一つで脳の機能が衰えると、誰にでももの忘れは起こります。
――老化によるもの忘れが増える一方で、病気、例えば脳卒中から認知症になるケースもあるのでしょうか?