兵庫県尼崎市の路上で、男性をコンクリートブロックで殴打し、殺害した罪に問われた無職の男(45)の裁判員裁判で、神戸地裁は17日、男の責任能力を認定、懲役14年の実刑判決を言い渡した(求刑・懲役18年)。
男は2020年3月、自分が利用していた介護施設経営者の男性(当時70)を路上に転倒させて近くにあったコンクリートブロックで顔面を複数回殴りつけ、殺害した。
男性は男の弟を経介して、男に1か月あたり約20万円の援助をしていた。しかし弟がしだいにその援助を消費し、男に渡る金額が減少したため、男は、援助が男性によるものと知らないまま、男性が一方的に減額したと勘違いしていた。
男は起訴内容を認め、争点は男の責任能力の有無だった。検察側は「精神障害の影響はあるものの、残酷性や動機などから犯行は悪質」だと主張する一方、弁護側は「犯行当時、被告は善悪の判断能力が著しく低下する『心神耗弱(こうじゃく)』だった」と主張していた。
判決で神戸地裁は「限定的ながらも被告の男が持つ精神障害が犯行に影響したと考えられる」と指摘。一方、「犯行後に血の付いた靴を洗っていたことや、犯行現場で被害者を待ち伏せしていたことなどから、責任能力は認められる」として懲役14年の実刑判決を言い渡した。