明石市内の寺院39寺ほどが所属する明石佛教会の歴史は古く、少なくとも1947(昭和22)年頃には存在していたとされる。現在は宗派を越えてさまざまな研修を実施しているほか、毎年4月にはお釈迦様の誕生日に合わせて「花まつり」を開催。明石市民会館を会場とし、仏教の話や法要のほか、講演会も行う。これまで永六輔さん、瀬戸内寂聴さんや、お笑い芸人コンビ「笑い飯」の哲夫さんなどを講師に招き、仏教になじみのない人でも親しみやすく、時に笑いを交えた講演が訪れる人を楽しませている。
新型コロナウイルスの影響で、残念ながらここ2年は花まつりを開催できずにいる。「寺同士が協力し、結束して仏教の教えを1人でも多くの人に伝える」というのが明石佛教会の理念。「今後も、一般の方々にも分かりやすい法話を通して仏教とのご縁を結ぶ機会を設けていきたい」と話すのは明石佛教会に加盟する長寿院の住職・鶴岡龍鷹さんだ。(※1)
山陽電鉄「人丸前駅」から徒歩2分、明石市立天文科学館そばに建つ浄土宗西山禅林寺派・長寿院も明石佛教会に所属する寺の1つ。1627年に建立、1716年に明石藩主・松平家の菩提寺となり、境内の旧明石藩主松平家廟所には8代藩主・松平直明から15代藩主・松平斉宜まで、歴代藩主とその家族が眠っている。
また近年御朱印を集める寺院巡りが人気となっていることから、長寿院への参拝者は増えているという。長寿院の御朱印は、浄土宗の名号「南無阿弥陀仏」が中央に大きく書かれたもの。鶴岡さんは「寺、そして仏教とご縁を結びたいという人が訪れている。阿弥陀様は大変慈悲深い仏様で、誰ひとり見捨てることなく救いとる方。ぜひご縁を作ってほしい」と話す。
コロナ禍に限らず、苦しいこともうれしいこともあるのが世の常。「そういった世の中で、心の支えとなる教えとして2500年前にお釈迦様が開かれたのが仏教。仏教には『すべてをありのままに受け入れる』という教えがある。弱く至らない自分も受け入れると、その原因に気づく。原因が分かれば解決策が見えてくるので、正しい心で実践すると悩みは解決する、というもの。立ち止まらず、受け入れることから道は開けていく」と鶴岡さん。一見、敷居が高く感じられる仏教の世界に触れてみると、心が温かくなり、生きるヒントをもらえることもありそうだ。
(※1 鶴岡さんの「鶴」の漢字は、正式には、雨冠の下に鶴と書くもの。環境依存文字のため、本文では「鶴岡」と表記しています)
(取材=嵐みずえ)
※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』2021年9月28日放送回、「嵐みずえの素敵な明石!!ここ」より
◆長寿院
兵庫県明石市人丸町2-26
電話 078-911-5937