ペットを飼っているご家庭も多いと思います。もしかしたら、大切な家族の一員であるペットに思わぬところでストレスを与えてしまっているかも……。その原因は「音」。今回は動物の聴覚について、普段はラジオを陰で支えている技術スタッフが、ラジオ番組のなかで解説しました。
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人間が音を聞き取れる範囲(可聴範囲)は、周波数でいうと20ヘルツ~ 2万ヘルツです。では、他の動物にはどのくらいの音が聴こえるのでしょうか?
犬は、16ヘルツ~12万ヘルツという広範囲の音を聞き取ることができます。つまり、人間よりもはるか高い周波数の音まで聞けるということです。犬は嗅覚に次いで聴覚が優れていますが、犬の祖先のオオカミなどにとってそれは、外敵から身を守ったり獲物を捕食したりするときにも重要な感覚です。音源の方向を知る「音源定位能力」も、人間が16方向の音を聞き取れるのに対し、犬は32方向もの音の分解能力を持っています。耳を動かす筋肉が左右にそれぞれ17本備わっていることで、音源に向けて前後左右、自在に耳を動かすことができるからです。
猫は、五感の中で最も聴覚が優れている動物です。特に、6万5000ヘルツという高周波の音を聞き取ることができ、ネズミの鳴き声や小動物が歩き回るときの高周波を聞き分けられます。また、左右の耳を音の発生源に向けて別々に動かせるため、左右の耳に届く音の時間差などから音の発信元を正確に把握。音源定位能力も高いと言えます。
猫の他にも、ネズミやクジラ、コウモリにも、高周波を聞き取れる種類がいます。
2020年には、イギリスの大学が「騒音によるストレスを受けた魚は病気を撃退する力が弱まり、長期間騒音にさらされた場合には短命になる」という内容の研究論文を発表しました。人間も騒音などでストレスを感じることがありますが、より耳の聞こえが良い動物たちは人間以上に強いストレスを受けてしまうことになりかねません。ペットを飼っている人は、動物に「音のストレス」をできるだけ与えないよう、家の中の音にも少し気を配ってみてはいかがでしょうか。
ちなみに、音の聞こえ方には年齢も関わっています。1万7000ヘルツ前後の「モスキート音」と呼ばれる超高音は、多くの人は年齢を重ねるにつれ聞こえづらくなります。インターネットサイトなどで配信もされていますので、自分が聞こえるかどうか試してみるのも面白そうです。
※1 犬の耳は、振動を音声として聞く際の「周波数」と、振動そのものを耳で感じることを示す「振動数」を併せて「音」と認識している。
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【放送音声】2021年10月31日放送回