兵庫県尼崎市で2020年11月、特定抗争指定暴力団「神戸山口組」系組長らを銃撃したとして、殺人未遂や銃刀法違反の罪に問われた特定抗争指定暴力団「六代目山口組」系組員2人の初公判が12日、神戸地裁で開かれ、いずれも「拳銃を向けたのは相手の威嚇のため」などと述べ、殺意は否認した。
「六代目山口組」系組員A(53)とB(55)は2020年11月3日午前11時半すぎ、尼崎市内の路上で、拳銃で弾丸計3発を命中させ、神戸山口組系組長の太ももと組員の左手にそれぞれ重傷を負わせたとされる。
検察側は冒頭陳述で「2人は(警察の)捜査員を装って組長を呼び出し、背後から拳銃を発射した」と指摘、殺意や犯行の計画性があったとした。
一方弁護側は「Aの考え方に共感していたBは、Aが組長への怨恨があることを聞き、痛めつけようとした。その際、相手の上半身を撃つと死ぬため、太ももを狙った」と述べ、傷害罪にとどまると主張した。
法廷では事件当時、連続する(2発)の発砲音が現場周辺で録音されている複数の防犯カメラの映像が再生されるなどした。
この裁判で神戸地検は暴力団同士の抗争事件であることを考慮し、裁判員裁判の対象から外すよう神戸地裁に請求し、認められたため、3人の裁判官による審理が行われている、裁判員法は、裁判員やその家族に危害が及ぶ恐れがある場合、公判を裁判官のみで行うとしている。
特定抗争指定暴力団「六代目山口組」と「神戸山口組」との抗争事件の刑事裁判をめぐっては、2019年に起きた一連の抗争事件で神戸市の神戸山口組系組長殺人未遂事件と、尼崎市の神戸山口組系幹部射殺事件が裁判員裁判の対象から外れた。