兵庫県の丹波篠山は秋の味覚の宝庫。栗や松茸に猪肉(ぼたん鍋)、人気上昇の黒枝豆、お正月に欠かせない黒豆を思い浮かべる方も多いでしょう。そこへ加えていただきたいのが、今が旬の「丹波篠山 山の芋」です。長芋や自然薯以上の強い粘り気が特長で、味わい深く栄養も豊富。とろろ意外にもさまざまな調理法で楽しめます。
山の芋は、晩秋の11月から12月に収穫されます。この時季の朝、丹波篠山は濃い霧に包まれることから、別名「霧芋」とも呼ばれます。見た目は丸形です。ゴツゴツしており外皮は黒っぽいのですが、切ってみると純白。きめの細かさも際立ちます。
いわゆる「滋養」のある野菜。たんぱく質が豊富で、デンプン分解酵素である「アミラーゼ」や「ジアスターゼ」のほか、抗酸化物質の「サポニン」も含まれていて、脂肪の酸化を防ぐ働きがあるとも言われています。さらには「ビタミンB群」や「アルギニン」などのアミノ酸も含んでいて疲労回復も期待できるそうです。
すり下ろした時の粘り気がとても強くコシがあり、シンプルに味わうならやはりとろろですが、熱を加えると団子になることから鍋料理もおすすめです。そこで「山の芋きんちゃくなべ」を、山の芋を取り扱う「JA丹波ささやま」のリーフレットに掲載されたレシピに沿って作ってみました。
材料は「山の芋、エビ、生しいたけ、えのき、にんじん、枝豆、白菜、青ねぎ、油あげ(長方形)、だしスープ、しょうゆ、みりん」(※1)とあります。ほかの具材はお好みで。
きんちゃくには、山の芋200グラム、エビ3尾、生しいたけ1枚、にんじん少々、枝豆30粒、油あげ(適宜)を使います。
油あげはサッと湯をかけて油抜きし、袋状になるよう横半分に切っておきます。山の芋は、少し厚めに皮をむいて酢水で10~20分アク抜き。4分の1を1センチ角切りにして、あとはすりおろします。エビも1センチ角、生しいたけはみじん切り、にんじんは細かくみじん切りにします。それらと枝豆を混ぜ合わせます。すり下ろした山の芋の粘り気は、おろし金を逆さにしても垂れ落ちることがないほど。もはや“弾力”と言いたくなるレベルです。油あげに詰めたら爪楊枝で口を閉じて、芋きんちゃく完成!