映画やドラマのレコーディング場面によく登場 「ミキシング・コンソール」の役割と歴史 ビートルズの名盤制作の時は? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

映画やドラマのレコーディング場面によく登場 「ミキシング・コンソール」の役割と歴史 ビートルズの名盤制作の時は?

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 ドラマや映画の中のレコーディングスタジオ風景に、必ずと言っていいほど登場する機材があります。ツマミなどがたくさん付いたテーブルのような……。今回は、その機材「ミキシング・コンソール」について、普段はラジオを陰で支えている技術スタッフが、ラジオ番組のなかで解説しました。

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 サウンドエンジニアが、音のバランスを整えるために操作しているのが「ミキシング・コンソール」です。最近は、DTMなどパソコンの中だけで音楽制作ができることもあって、実際のミキサーをあまり使ったことがないという人もいると思うのですが、スタジオやライブ会場で放送やレコーディング、ライブなどを行う際、また、シビアな音の処理を行う場合にはミキシング・コンソールが必要になります。

ミキシング・コンソール

 ミキシング・コンソールは、モノラルやステレオで録音する“ダイレクトレコーディング”から、多くの音をマルチに録音する“マルチトラック・レコーディング”への進歩に対応するため、「スプリット・コンソール」というタイプに発展しました。スプリット・コンソールは、音の入力や、モニター、アウトプットなどのモジュールがついたもので、レコーディングの規模が大きくなるにつれて、1人では操作できないほど大型のミキサーも登場しました。

 かつての音作りには大変な作業が伴ったようです。ザ・ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967年)は、当初4トラックのテープレコーダーで制作されましたが、当時のレコーディング・コンソールはそんなにチャンネル数もなかったため、気の遠くなるような“ピンポン録音”、バウンシングと編集を行って作られたそう。その後、ビートルズのレコーディング作業の中では、2台目のレコーダーを同期させてトラック数を増やしたり、『ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム)』の制作途中では、 8トラック・レコーダーが導入されたりしました。

 レコーダーの進化とともに、ミキシング・コンソールも発展。インプットやモニター、アウトプットの操作性を良くした「インライン・コンソール」が登場しました。また、ムービング・フェーダーなどがついた「デジタル・コントロールド・アナログ・ コンソール」も登場しています。これらは「アナログ・コンソール」と言って、ラジオ関西でもオンエアスタジオや録音スタジオに設置しています。

 最近では、音声信号自体をデジタルで処理するデジタル仕様のコンソール「デジタル・コンソール」も現場の主力になっています。デジタル・コンソールは、アナログ・コンソールにたくさんついているツマミやスイッチなどが少なく、タッチパネル操作機能のついているものが多く見られます。デジタルのミキサーは一見、使い方が難しいと感じますが、アナログのミキサーの仕組みを理解すれば使えるようになるはず。 アナログもデジタルも、ミキサーのフェーダー操作は訓練の賜物です。

参考資料:『音響映像設備マニュアル 2021年最新大改訂版』

※ラジオ関西『おしえて!サウンドエンジニア』 2021年11月28日放送回より


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【放送音声】2021年11月28日放送回

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