兵庫県稲美町で19日、小学生兄弟が死亡した住宅火災で、殺人・現住建造物等放火の疑いで逮捕された同居の伯父(51)が十数年前に生活拠点を兵庫県から大阪府に移し、身柄の確保場所となった大阪市北区の扇町公園などで路上生活をしていたことが、関係者への取材でわかった。
兵庫県警は、事件後に土地勘があった大阪に移動したとみて足取りの解明を進める。26日午前、伯父の身柄を神戸地検姫路支部に送致した。
関係者によると、伯父は十数年前から扇町公園をはじめ大阪市内で路上生活をしたり、同市西成区などの自立支援施設で軽作業をしながら暮らしたりしていたという。
数年前に実家である現場の住宅に戻り、妹夫婦とその子どもに当たる兄弟と計5人で同居を始めたとみられる。さらに昨年からのコロナ禍で、職に就いていなかった。捜査本部はこれらの情報を基に、立ち回り先となりそうな場所を捜索し、火災5日後の24日午後、伯父を扇町公園で発見した。
近隣住民などによると、全焼した実家は、2006年に実父が死亡して伯父が土地を相続していた。そして、同居する妹夫婦に「家(土地)と財産を譲るから、生活保護を申請してほしい。(自分は)働きたくない」などと話していたという。また、「土地を持っているために生活保護が受けられない」と危惧していた、との証言もある。