阪神・淡路大震災から27年を迎えた17日、神戸市灘区の市立灘の浜小学校で防災訓練が行われ、全校児童およそ400人が参加した。
震災後、神戸市では震災を忘れずこの経験を未来につなげようと、1月17日を市民防災の日と定めている。この日の訓練は、神戸市がこれまで行ってきた様々な訓練にドローンなどの最新技術を組み合わせることで、子どもたちに地域の防災意識を高めてもらおうと行われた。
訓練は大きな地震が発生し校舎も被害を受けたとの想定で、まず教職員が安全を確認した後、子どもたちは「安全が確認された」階段を使って校庭に避難した。この後、子どもたちは学年ごとに分かれ、東南海地震を想定した震度5弱から7の揺れを体験したり、救命処置の手順や消火器の使い方を学んだりするなど、実体験を通じて防災を学習。土砂災害の映像をVRで体験するなどの最新技術にも触れた。また、低学年の児童たちは、消防車や救急車の見学や防災クイズなどに取り組んだ。
灘の浜小学校は2021年春に開校したばかりの学校で、「1・17」を迎えるのは初めて。子どもたちは熱心に、そして楽しみながら訓練に取り組でいた。震度6の揺れを体験した5年生の児童からは、「怖かった」「最初は小さかった揺れがだんだんと大きくなった」「訓練だったから平気だったが、急にあんな揺れが来るとびっくりすると思う」などの声が上がった。
救命処置を体験した4年生からは「疲れた」「難しかった」のほか、「不安はあるけどいざというときにはできそう」という頼もしい声が聞かれたほか、煙の中を歩く体験をした3年生は、「まったく前が見えなかった」と話していた。
灘の浜小学校の山川寿夫校長は、「忘れてはならないこと、それを刻む1日にしてほしい」と子どもたちに語りかけた。そして、同校の田中達也教諭は、震災当時、自身は小学校3年生だった体験を話したうえで、「未来の神戸を作る君たちが、当時のような悲しい思いをしなくていいように、訓練をいかしてほしい」と思いを述べていた。