「須磨の天神さま」として親しまれている神戸市須磨区の綱敷天満宮で、2021年大晦日、小さな奇跡が起こった。
天野山文化遺産研究所の代表理事・山内章さんは、綱敷天満宮から依頼を受け、手水舎の貼り紙を傷つけないようにはがしていた。
「あ!」、思わず声を上げた。
丁寧に両面テープを取り除いていたら、3人の人物が浮かび上がってきたのだ。
「これは在原行平と松風村雨姉妹ではないか」
山内さんは写真を撮りその輪郭をなぞった。
中央の人物は烏帽子をかぶって公家の格好をし、その右隣は女性で手には鳥がとまっているように見える。意図してできたものではなく、手水舎を傷つけないよう作業を進めていたら、もともとそこに3人が描かれていたような形が浮かび上がったという。