神戸市北区で2010年10月、堤将太さん(当時16・ 高校2年)が刺殺された事件で、神戸地検は28日、2021年8月に殺人容疑で逮捕、送検された男(29・事件当時17歳)について、殺人罪で起訴した。
捜査関係者によると、男は事件後の2017年ごろ、「少年が高校生を殺害する」という内容の小説をつづり、電子書籍で閲覧できるようになっていたという。
この小説のストーリーは、高校を退学した少年が孤独な生活を送るうちに、自分以外の人物に対する恨みを募らせ、自宅近くの公園で高校生の男女4人が楽しそうな雰囲気で戯れているのを見て嫉妬して、次々にナイフで襲う。このうち、少女1人が生き延びる、というもの。
男は父親の度重なる転勤に伴い、幼少時から関東や関西を転々とし、2008年4月に青森県内の公立高校に入学した。しかし同級生の女子生徒を刃物で脅すなどしてトラブルとなり、事件の前年、2009年に自主退学したという。 その後、神戸市北区の現場近くにあった親類宅で一時的に暮らしていた。
捜査関係者によると、男は逮捕時、容疑を認め、「(将太さんが)女の子と一緒に話しているのを見て腹が立った」といった趣旨の供述をしているという。
こうした状況もあり、神戸地検は事件当時の男の精神状態について鑑定留置で詳しく調べる必要があると判断したとみられる。