あの“駄菓子のカツ”を再現したいと、40年間思い続け、実現に至った、プロの串揚げ職人がいます。
小さい頃から駄菓子が大好きで食べ続け、今でも毎日食べているという、兵庫県豊岡市の居酒屋「串揚げビリケン」の大将・斎藤雅彦(さいとう・まさひこ)さんです。
みなさんは駄菓子と言えば何を思い浮かべるでしょうか?
「私の中ではやっぱり、あの駄菓子のカツですねぇ」という斎藤さん。その理由を聞くと、小さい頃、駄菓子屋さんに行ってもカツは他の駄菓子に比べて高かったので、自身の小遣いではなかなか「買いたいけど買えない」存在。「いつか思い切り、満足するくらい、好きなだけ食べてみたい!」と憧れのような感情が芽生え、斎藤さんの中で駄菓子のカツが“キングオブ駄菓子"になっていったそうです。
そんな思いが募ってか、プロの串揚げ職人になり、お店を開店した斎藤さんは、素材にこだわり、「皆さんがお腹いっぱい食べられるように」と、リーズナブルな串揚げを展開。同店の串揚げが評判になってきた頃、駄菓子のカツへの思いが再燃し、「今だ! あの駄菓子のカツを、串揚げ職人として自分で作ってやろう」と一念発起。
まずはお店の営業時間外に作り始めたそうなんですが……、最初の試作は「あかん、なんやこれ…?!」。なかなかうまくいかず、理想のカツとは味も食感も全然違うものに。
それでも持ち前の研究熱心さに火が付き、雨の日も風の日も頭の中は「駄菓子のカツ! カツ! カツ!」。
ちなみに、駄菓子のカツの中身ってなんだと思いますか? カツといっても、肉じゃなくて、魚のタラのノシなんです。斎藤さんはこの世にあるタラのノシを食べまくり、ようやく理想のタラのノシを発見。コロモのバッター液の配合や中に入れるスパイスにもこだわり、探しては作り、探しては作りを繰り返したといいます。そして、揚げる温度も、揚げる時間も微調整! 微調整! 微調整!