この言葉は、殊にいろいろな使われ方をしていると感じます。「はんなりしたい」「はんなりとした味」「はんなりやなぁ」……。使っている人に意味を聞いてみると「やわらかい」「まったりとした」「やさしい」など、答えがバラバラ。正確なところがはっきりしません。言葉の響きから、何となく意味を連想して使っているように思えます。
本来の意味はというと……
「落ち着いたはなやかさを持つさま。上品に明るいさま。視覚・聴覚・味覚にもいう」(『広辞苑 第7版』岩波書店)
「〔京阪方言〕上品で、どことなく はなやかな雰囲気が感じられる様子」(『新明解国語辞典 第8版』三省堂)
そうなんです。ひとことで言うと「はなやか」という意味で使う表現です。巷での使われ方の幅が、ずいぶん広がってきているということがわかります。
では、この「はんなり」の語源は何でしょうか? 『日本語源大辞典』(小学館)には次のようにあります。
(1)ハナ(花・華)に、状態を表す接尾語リを付け、強める気持ちを表すために撥音化した語<上方語源辞典=前田勇>。(2)花なり(花形。花姿。身なり・いびつなりなどと同じ類で、花やかな形)か。(以下省略)
そして、参考項目には……
《1》中世後期以降、主として上方の資料に例がみられ、現在も京阪地方で用いられている。《2》語源説(1)によれば、「はな」を語基にもつ語として「はなやか」「はなばな」「はんなり」を関連づけて考えられる。(以下省略)