かんきつ王国といわれる愛媛県のオリジナル品種で、中晩柑の「甘平」(かんぺい)が、2月中旬に入り、さかんに出回っている。
甘平は愛媛県立果樹試験場で誕生し、2007年に登録された新品種で、「西之香」と「ポンカン」を交配して作られた。自慢の「甘味」と「平たい」形状から「甘平」と命名された。外の皮が柔らかいので手で簡単にむけ、内皮もそのまま食べられる。中身にはシャキッとした大粒のプチプチした果肉が詰まっており、種もほとんどなく食べやすい。糖度が13度以上になり、クエン酸含量が約1.1%まで下がる1月下旬~2月下旬がシーズンだ。
その甘平のなかでも数パーセントしかないのが、「愛媛Queenスプラッシュ」。糖度13度以上、着色と形状が優れ病害虫痕や傷がない、サイズが2L~4Lサイズ(果径8.0cm~10.2cm)という品質基準を満たしているものに限られており、 “かんきつの女王”と呼ばれている。
現在、愛媛県内のみで生産されている甘平。近年できたばかりの新たな品種のため、生産量が少ない。また、外の皮が薄いため皮が裂けやすく育てにくく、樹の下にシートを敷く繊細な潅水(かんすい)管理が必要で、果実を寒波や鳥害から守るための袋かけも行われている。そのため、「甘平」の価格は、1個300円~500円、「愛媛Queenスプラッシュ」では1個1000円と通常のかんきつより高めだ。
それでも、その甘さやおいしさが魅力の「甘平」は、贈答品としても人気が高い。愛媛から東京や大阪などへ出荷され、首都圏・関西圏の百貨店やスーパーにも並ぶ。インターネットショップでも購入可能で、ふるさと納税の返礼品にもなっている。