ミュージカル不朽の名作『ウエスト・サイド・ストーリー』を、巨匠スピルバーグ監督が新たに映画化。今年のアカデミー賞7部門にノミネートされています。今作を、映画をこよなく愛するラジオパーソナリティー・増井孝子さんが解説します。
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あの名作『ウエスト・サイド物語』が帰ってきた。なぜ今? なぜスピルバーグが監督を?
1957年にブロードウェイの舞台で初演され、トニー賞2部門に輝いたミュージカル。1961年には、原案・舞台演出・振付を担当したジェローム・ロビンス(ロビンズとも)と、ミュージカル映画初挑戦のロバート・ワイズが共同で監督を務めて映画になった。
話題になったこの作品は、アカデミー賞に11部門でノミネート。作品賞、監督賞、助演男優賞(ベルナルド役のジョージ・チャキリス)、助演女優賞(アニタ役のリタ・モレノ)など10部門で受賞した。もちろん大ヒット。マイケル・ジャクソンが『今夜はビート・イット』(1982年、原題:Beat it)などのミュージックビデオにエッセンスを取り入れたのをはじめ、このミュージカルに影響を受けたアーティストは数知れず、世界中のショービジネス界に大きな衝撃を与えた。
現在公開中のスティーヴン・スピルバーグ監督作品は、今年の第79回ゴールデングローブ賞で、作品賞、主演女優賞(マリア役のレイチェル・ゼグラー)、助演女優賞(アニータ役のアリアナ・デボーズ)に輝き、第94回のアカデミー賞では作品、監督、助演女優、衣装デザイン、撮影、美術、音響の7部門にノミネートされている。
舞台は、1950年代のニューヨーク、マンハッタンのウエスト・サイド。夢を求めてやってきた移民が多く暮らすこの町では、資本主義による再開発が進められている。建物はどんどん壊され、住民たちの暮らしはひっ迫し、追い詰められつつあった。鬱憤をためた若者たちはグループを作り、殊に、ヨーロッパからの移民たち(主にポーランド系)で作る“ジェッツ”と、プエルトリコ系移民の“シャークス”の2つのグループは常に対立。一触即発状態だ。
ジェッツのリーダー・リフ(マイク・ファイスト)は、シャークスのリーダー・ベルナルド(デヴィッド・アルヴァレス)に、決着をつけようと提案。決闘を行うことになり、リフは、ジェッツの元リーダーで友人のトニー(アンセル・エルゴート)に手助けを頼む。トニーは、ある事件がきっかけで服役し、更生。今は、バレンティーナ(リタ・モレノ)が、亡き夫の遺志を継いで切り盛りするドラッグストアで働いているため、面倒なことに巻き込まれるのは困ると二の足を踏む。
『ウエスト・サイド・ストーリー』大ヒット公開中
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