女子サッカー・WEリーグのINAC神戸レオネッサに所属するなでしこジャパン(日本女子代表)FW田中美南選手が、14日のラジオ番組に電話出演。WEリーグ第14節ジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦での決勝ゴールを振り返るとともに、ストライカーとしての思いなどを語った。
ラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)3月14日放送回の『ガクトとなっちゃんが選ぶ前節MVP!』に選ばれた田中選手。リーグ戦では昨年10月17日の第6節ノジマステラ神奈川相模原戦以来となるゴールについて感想を聞かれると、「久々すぎて喜び方を忘れちゃってました。びっくりしていました」と本音を吐露する。
12日の千葉L戦では、0-0で迎えた後半開始直後の47分、敵陣ペナルティーエリア手前でボールを受けると、キープしながらターンし、相手のマークが離れた瞬間、豪快に右足を振り抜いた。打った瞬間は「あ、入ったな」と思ったというボールは鮮やかな弾道でゴールに吸い込まれた。この田中選手らしい得点が、チームに昨年11月14日の第9節アルビレックス新潟レディース戦以来となる勝利をもたらした。
番組パーソナリティーで元Jリーガーの近藤岳登から「ゴール向かう意識はずっとあったもんね?」と聞かれると、「前半はちょっとその意識が足りなくて。反省を踏まえた後半だったので、最初の入りで、その1本がうまく入ってくれてよかった」と振り返り、気持ちを切り替えて後半に臨んだことがゴールにつながったという。
なでしこリーグ時代、2016年から4年連続得点王に輝き、2020年に移籍加入したINAC神戸でも12ゴールを奪うなど、ゴールを量産してきた田中選手。しかし、WEリーグ初年度はここまでまさかの2ゴールにとどまっている。FWにゴールが生まれないと、周囲からの批判の的になりがちだが、日本女子サッカーを代表するストライカーは、「今季に関しては(ひざを)けがをしたり、自分のコンディションが本当によくなくて、(批判は)事実だなと思っていた」と謙虚に受け止めていたと話す。
近藤から「前のチームから点を取ることを仕事でやってきて、過去一番取れていないシーズンなんじゃない?」と振られると、田中選手は「そうです、ほんとに、もう笑っちゃうくらい」と苦笑い。「(これまで)チャンスはあったし、ないにしても、この前の(千葉L戦のような)ミドル(シュート)みたいな機会は絶対にあったから、それを決めてこなかったというのは自分の問題だった」と、自らに向き合いながら研鑽を積んでいたようだ。
一方、近藤からは、自らの経験を踏まえて、「自分の試合を振り返って見るか」という質問も投げかけられる。
これに対して、「気になったら振り返ります」という田中選手は、「例えばゴールを失ったとして、自分が見えていない敵が来ていたのならどこから来たんだろうということや、どの向きで出たらよかったんだろうということなど。あと、守備で(うまく)行けていたのに、ハメられなかった(奪えなかった)のはどうだったんだろうと……」と反省点の確認を行っているという。また、決めた得点シーンで気にかけているのは、「客観的にどう映ってるんだろう」ということ。「得点が入っちゃえば、それでよかったかなと思うが、外しちゃったときに、『ああ、こうすればよかったかな』と」いう振り返りを行い、次への参考にしているそう。
さらに、ラジオ番組のなかでは、国内外で好きな選手を聞かれたとき、「大迫(勇也)選手はすごいなと、(プレーを)勉強しています。起点にもなれるし、ゴールも奪えるし、足元(の技術が)あるので」と、日本代表・ヴィッセル神戸のエースストライカーの名前を挙げた田中選手。ターンのうまさは大迫選手をほうふつとさせるものだが、「真似するというのではないですが、大事な試合で(見て)『すごいな』と、『どういう考えしてんのかな?』と気になったりします」。