「兵庫・神戸のヒストリアン」田辺眞人のラジオレクチャー。今回は、欧州連合「EU」の歩みについて紐解きます。
☆☆☆☆☆
今から65年前の1957年3月25日、「EEC(ヨーロピアン・エコノミック・コミュニティ=欧州経済共同体)」が結成されました。
第二次世界大戦が終わり、ヨーロッパの経済はガタガタになってしまいます。それぞれの国を見てみると、農業中心で食べるものや着るものは足りているけれど工業製品が作れない国、逆に、工業製品は足りているけれど農産物が不足している国など、さまざま。それなら、ヨーロッパの国と国とが取引をするときの関税をやめ、ヨーロッパの経済的なつながりを作ろう、という考え方が生まれました。
第二次世界大戦の終戦から12年後の1957年に、ベルギー、フランス、イタリア、ドイツ、オランダ、ルクセンブルクの6か国が加盟して、「EEC(欧州経済共同体)」が誕生し、経済的な関税同盟を結びました。
1967年には、工業原料の欧州石炭・鉄鋼共同体と、エネルギーの欧州原子力共同体を吸収。3つの組織が一緒になり、経済だけではない繋がりのコミュニティが生まれました。名前も、EECのエコノミックの「E」を削除して、EC(ヨーロピアン・コミュニティ=欧州共同体)となりました。
1973年には、デンマーク、アイルランド、イギリスが、1980年代には、さらにギリシャ、スペイン、ポルトガルが加盟しました。1987年にトルコが加盟を希望したのですが、イスラム圏であるなどさまざまな理由で、未だ認められていません。
やがて1900年代の終わりに、ヨーロッパ合衆国のようなものを作ろうという考えが出てきて、1993年にEU(ヨーロピアン・ユニオン=欧州連合)が誕生しました。1991年はソ連が解体。それまで抑えられていた東ヨーロッパのブルガリアやクロアチア、チェコ、リトアニア、ラトビア、ハンガリー、フィンランド、エストニアなどが、EUに入っていきました。